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2023年3月日本民藝館『生誕100年 柚木沙弥郎展』感想

「染色家・柚木沙弥郎(1922-)の作品が持つ特質は、無垢な模様と澄んだ色彩にあります。生誕100年を記念する本展では、初作品から近作に至る染色品を展示すると共に、時代や産地、手法の異なる工芸品やプリミティブな造形とのコラボレーションを試みます。それらと共鳴し瑞々しい生気を放つ柚木作品は、感動と喜びをもたらしてくれるでしょう。」(日本民藝館HPより転載)

柚木沙弥郎(ゆのきさみろう、とよみます)さんの作品は気になっていたのですが、以前立川のPLAY! MUSEUMで開催されていた展覧会には行けず今回初めて足を運べました。
今回開催されている日本民藝館とは、これまでもご本人が展覧会のポスターを作成したり、所蔵品を寄贈したりと、以前より関係があるようでした。

作品はこれまで写真などでは色々とみたことがあったのですが、今回の展示をみて、アフリカなどの民芸品や染物などからの影響があるのだなと思いました。
素朴な柄の用い方であったり、人物や動物、物の描き方など牧歌的というかとぼけたような感じがするのも、アフリカなどの影響が伺えるような気がしました。一枚の布の中に、大きく柄を用いたりする力強さも、アフリカ的なものの一面なのかもしれません。
それでも、色そのもの選び方や、他の色との組み合わせ方などは、淡かったり落ち着いたトーンのものであったりと、アフリカというより日本を感じさせるものだと感じました。
紅型の作品もあったので、沖縄の染物からも影響を受けているようでした。

一見すると大胆な色使いや柄のの用い方が印象としてありますが、柄をじっくりみていると、点の配置や意外な線の繊細な描き方をされていて、なんとなく抱いていた大味な感じはありませんでした。近くで作品を見てわかってくることかと思いますので、訪れてみて良かったと思えました。

それと知らなかったのですが、日本的な柄の作品もありました。日本的な柄といっても、ルーツはインドや中国かと思いますが、小さくて細かい柄で構成されている作品もあって、一般的な柚木さんの作品の印象とはまた違ったものも見ることができました。

訪れたのは平日の午前中でしたが、思いのほか人が多くて人気のほどが伺えました。また外国の方もいたので、海外でも知られているのか、あるいは単純に日本民藝館の日本家屋を見に来ているのか、と思いました。建物の玄関あたりや庭に花の大きな椿やハクモクレンが咲いていて、とても素敵でした。

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