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郷愁の浅田飴

喉が弱いとスースーするものを好むのだろうか。昔からハーブ、特にミントが好きで、ガムもグリーンガムやクールミントガムをよく食べていた。ホールズというキャンディーや龍角散のど飴が出た時は案の定ハマった。
小学生の頃、友達がスースー系を“からい”と表現して嫌っていたことに静かな反発を覚えたほどだ。この美味しさがわからないなんてという気持ちはあったが、人の好みは変えられない。それ以上に納得いかなかったのが、爽快感の表現だ。言いたかったが(そこまでこだわるのはアホみたいなので)言わなかった。『“からい”はカレーとかやろ』、と。怒るポイントはそこだった。
余談だが個人的にミントチョコやチョコミントアイスは、ミントの割合が総じて少ないと感じる。どのメーカーもミント:チョコを7:3ないし8:2くらいにしてほしい。

父の遺伝で扁桃腺が弱かった私は、子どもの時から父の買っていたのど飴を好んでいた。中でも山之内製薬のハーブキャンディは筒状の小さな缶入りでプラスチックの蓋がついていて、それがまたおしゃれで良かった。(見た目も味もちょうどリコラのハーブキャンディに似ている)

幼ない頃は扁桃腺をよく腫らし、しょっちゅう熱を出していた。その時応急処置として浅田飴を舐めさせられていた。あの水飴のやつだ。
主成分は生薬で、思い起こしてもかなり独特の味だったと思うが熱にうなされる私にはおいしく感じられた。虚弱体質だったため養命酒も嗜んで(?)いたが、すんなり飲めていた。和漢・西洋どちらもイケるハーブ好きな子どもだった。

浅田飴はドロップも水飴も、うちに常備されていた。なぜか薬箱ではなく両親の鏡台に整髪料と並んで無造作に置かれていた。それだけ家族の誰かが(言うまでもなく父が)常習的に愛用していたのだろう。お菓子じゃないので普段は食べられなかったが、しんどい時に少し舐めさせてもらうと不思議とおいしく救われた気持ちになったものだ。(芋づる式に、熱を出した時はこれとヴィックスヴェポラップを胸に塗られる光景が思い出される)

浅田飴の他に缶入りの飴といえば国民的に有名なのがサクマ式ドロップスだろう。あれもハッカが出るとラッキーだった。大人になってハッカをハズレとする風潮があることを知り、びっくりした。あのハッカは私にはやや甘めだが、それが万人受けするとさえ思っていたのに。
数年前、そのハッカだけの缶があったので嬉々として買った。ところが、食べるうちに昔ほどおいしさを感じなくなった。要するにそればっかりだと飽きるのだ。
フルーツ、フルーツときてハッカを当てた時のおいしさは格別だった。それがハッカ、ハッカ、ハッカだと…

きっと浅田飴も、喉を腫らした時にあのスプーンでちょろっと舐めるから美味しいのだ。試したことはないが、おやつ感覚でべろべろいくと旨味ではなくヤバ味を感じるのだろう。(だって薬だし…)
飴ならもっと美味しいものが他にある。扁桃腺も腫れなくなって久しい。それでもまたいつか、味わいたいと願っている。※

※浅田飴の水飴タイプはもう廃盤になっていることを最近知った。寂しい…

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