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漏斗胸と私(女/28歳)

私の胸の中心には、そこそこ大きな、拳がすっぽり収まるくらいの凹みがあります。
父からの遺伝で、肋骨や背骨が歪んでおり、心臓が他の人よりもやや左に位置しています。
だからといって幼少期に運動制限をされることもなく、体育の授業も運動会もマラソン大会もみんなと同じように参加して過ごしました。
大人になった私は、少しだけ人より体力がなく、少しだけ人より肺活量も少ない、
健診の心電図検査で「異常はあるが日常生活に支障はありません」と出るだけの、
いたって健康な社会人です。


だからこれは、見た目のはなし。


小さい頃、
大人になったら骨が硬くなってしまうから漏斗胸を治す手術はできないよ、
と聞いていました。
今は手術を実施している病院もあるようですね。昔も聞いてないだけであったのかな?


手術する?と聞かれたけれど

小学生の頃に一度だけ、
今後成長したときの見た目が気になるようであれば、手術をするために紹介状を書きましょう。
と、小児科の先生から母にお話がありました。
(心肺機能の発達に関する話も出ていたのかもしれませんが、覚えていません)

私は、嫌だ、と言いました。

日常生活を全く問題なく過ごせているから必要性を感じなかったのもありますが、
何より手術がとっても怖いと思ったからです。
母も、そうだよね、と言ってくれて、
それ以上話をすることはありませんでした。



やっぱり手術したいって言おうかな…

あの時手術をしない選択をしたことに後悔はありませんが、
大学生の時に、悩んだことがあります。

大学のサークル仲間で、一緒にまとめ役として活動していたとある男子が
他の男子達と「このサークル内で誰が1番可愛いか?」と盛り上がり、
私の名前が上がった時に
「は?あいつそんなでもねぇやろ、胸無ぇし」
って言ってたよと、
彼氏に言われたのです。

人はなんであんなに異性の見た目を格付けしようとするのでしょうか。褒めるだけで良いじゃないですか。
彼氏には、わざわざ教えるな、と怒り、
心無いことを言い放った男子には、心の中で沢山罵倒させて頂き、それから必要最低限しか関わらないようにしました。

ですが、

胸が無い

というのは隠しようもない事実です。
どんなに小さいサイズのブラジャーを付けても、思い描くような綺麗な形には収まらずに浮いてしまうのが悲しくて、今でもほとんどカップ付きキャミソールで過ごしています。
着たい洋服を見つけても、胸元が開いているだけで私が選ぶ対象から外れます。Vネックは着れません。

根本的には手術するしかないし、その手術でも理想的な骨格にはなれないかもしれないのに。
そんなこと知らない他人のなかには
こうやって心無いことを言う人もいるんだろうなと
頭では分かっていたのに
実際言われた時は、大きなショックを受けました。


でも、これが、私です。

結局踏ん切りがつかず、コンプレックスを抱えたまま社会人になりました。
あの時よりは漏斗胸の自分を受け入れられている気がします。
お洒落をするのがとても好きなので、これからも色々吟味しつつ楽しむのだと思います。

有難いことに大学時代の彼氏とは今でも縁が続いており、これからも一緒に居てくれそうです。
私はドレスに強い憧れを持っていて、
気に入ったデザインのドレスを着てウェディングフォトを撮ることが、今の私の夢です。


漏斗胸の女性は男性よりも少ないと聞きます。
かと言って他人にペラペラ話すことでもない。
私が漏斗胸であることも、家族と彼氏と、信頼が置けると判断した友人しか知りません。

同じような境遇の方の書いた記事をあの時の私は探したけれど、上手く見つけられなかったので
今回私が記事を書いてみました。

とても拙い文章ですが、読んでくださってありがとうございます。

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