「SPRING次世代」確定申告~研究奨励費を事業収入とするには~

博士課程で「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」に採用されて研究に従事されているみなさん、日々研究お疲れ様です。

研究奨励費(15~20万円/月)、ありがたいですが、雑収入として確定申告を要するため、所得税や住民税として少なくない額が持っていかれてしまいますよね。
巷では、雑所得である研究奨励費は事業収入として認められる、とささやかれています。本当でしょうか?

本当です!
私は、昨年分(2022年分)について、研究奨励費を事業収入として申告し、無事認められました。事業所得の目玉は、「青色特別控除(55 or 65万円)と、「経費として計上できる支出の多さ」です。
大きなメリットがある反面、どうしても若干の手間を要します。
すなわち、複式簿記による記帳が必須です。

忙しいであろう皆さんに、抑えるべきポイントや、昨年の私の申告手順などを公開します (2023年分更新)。


まずはじめに

まずはじめに、研究奨励費は事業所得になるのかと度々議論になっています。
例えば大阪大学のSPRINGS事務局は、『なお、研究奨励費を事業所得として申告できるかどうか問い合わせがありましたが、研究奨励費は、生活費相当額として支給しており、営利を目的とした「事業所得」には当たらないと考えていますので、「雑所得」として確定申告が必要であると考えます。』との見解を掲載しています。


対して、「雑所得」と「事業所得」の区別は、『事業所得と業務に係る雑所得については、その所得を得るための活動の規模によって判定さ れ、当該活動が事業的規模である場合には事業所得に、事業的規模でない場合には業務に係る 雑所得に区分されるという関係にあります。』

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf

すなわち、『事業所得と混同されやすい所得に、雑所得があります。同じようにハンドメイド作品の販売を行っている方でも、それが事業規模、つまり生計を立てられる規模であれば事業所得、余暇で作った趣味の作品を販売しているなど小遣い稼ぎ程度であれば雑所得に該当します。』

次世代研究奨励費は、それ本体で生計を立てることが目的です。
学振の研究奨励費もそうですが、この国は博士課程の学生をあいまいな制度に当てはめ、宙ぶらりんな状態にするのが好きですね。上記はあくまで事務局の見解であり、最終的には税務署の判断です。確固たる意志を持ちましょう。

それでは、具体的な内容に入っていきます。
なお、参考にした書籍は、

です。こちらも参照してみてください。

開業しよう!

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htmから、「開業届」と「青色申告承認申請書」をダウンロード。
それぞれ記入し、所管の税務署に提出!
これであなたも個人事業主に(一度行えばOK。2年目以降は不要)

マイナンバーカードを作成しよう!

確定申告を(e-Taxで)行うには、マイナンバーカードが必須(厳密には、税務署でIDとPWを発行してもらうことでオンライン申告は可能)。
持っていない人はこの機会に作成しよう。

帳簿を作成しよう!

青色申告のメリットは多額の青色申告特別控除(e-Taxで申告65万、窓口では55万)。
要件の1つが複式簿記での記帳。
確定申告の際に提出が求められるのは、「貸借対照表」と「損益計算書」。
したがって、上記2つの書類を作成するために帳簿を付けていく必要あり。

以下は、有料とさせていただきます。
私が昨年に申請資料作成時に躓いた点などもまとめてあるので、まさに「虎の巻」だと自負しています。

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