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「BUTTER」を読んで

 

 重く癖になるあのバターの香りを幾度も相反させ、鼻の感覚を揺さぶるほどに余韻を残す。

文字だけで感覚を研ぎ澄まされるのだ。

あの女に?

あの女はすごいのか?

そして憎らしい?


 私たちは被害者でも加害者でもない。

 ただ人として人に依存を覚えさせ去ることの喪失感で殺してしまう彼女を単に認めたくなかっただけなんだ。

 ルッキズムに侵食され浸されまくったオスのプライドが行き交う中、精神だけが切り離されているようにも感じる。

 彼女だけが自身の肉体を感じ、愛撫し、向けられた目線を跳ね返す。強くてろくでもない。

 でもこう生きることに実は喉から手が出るほど羨ましいけど世の中から愛されることもまた平等に手元に残しておきたい。


バターの香りでテロ化した風味良い香ばしい一品、一冊。

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