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小沢健二 『LIFE再現ライブ』

注 : 日記ではなく完全にオタクの怪文書になっているため気持ち悪い文章が続きます。でも、最後の文章だけでも読んでほしいです。

2024/08/31

 団塊の世代ジュニアであれば誰もが知っている、小沢健二の名盤『LIFE』の再現ライブが武道館で行われた。実は自分には縁がないライブだったため、武道館に向かう途中で変な気持ちになっていた。というのも、100枚程度の当日券争奪戦で昨日たまたま勝利してしまったのだ。購入が確定してから30分は手の震えが止まらなかった。そんな小沢健二『LIFE再現ライブ』だが、今日本当に、あの武道館で小沢健二のLIFEが完全に再現され、それを目撃した1人になってしまった。音楽好きな人にはこのライブがどれだけ半端ないものか理解してもらえると思う。ひと言だけ言えるのは、「人生で一番素晴らしいライブ」だったということ。情報が出た半年前から、今日のこのライブが伝説になることは確信していた。しかし、まさか自分がそれを目撃する1人になれるとは思ってもいなかった。

 開演17:30に対して小沢健二が登場したのはおそらく17:50頃だった。まだかまだかと観客席がざわついていたのに、会場が暗くなった瞬間にみんな一斉に静まる。お利口さん、小沢健二のファンらしくてニヤけた。流れ星ビバップから始まり、フクロウが演奏される。つい1週間前ほどに会った叔父さんが、流れ星ビバップが好きだと言っていたのを思い出した。従兄弟は何故かフクロウが好きらしい。

 その後には『強い気持ち・強い愛』でブチ上がった。自分が小沢健二に出会った曲、一浪目に、死んだ目をしながら皇居周辺を彷徨っていたら、イヤホンから流れてきたのがこの曲だった。それを皇居の中にある武道館で聴いている、個人的にすごくエモいポイントだった。そして、この曲の途中でいつものライブより自分が騒げていることに気づいた。今思えば、グッズのTシャツを着て、その上に5月のライブで配布されたネクタイをし、小沢健二グッズに身を包んでいたからかもしれない。熱心なファンという証左があれば何故か騒いでもいい気がする(迷惑)。その後に演奏される『天使たちのシーン』は個人的に消費する音楽ではないという謎のこだわりがあるため、普段聴かないようにしていた。本人の生歌を聴きながら歌詞を咀嚼していくと自然と目に涙が溜まった。『球体の奏でる音楽』からの2曲は小沢健二があの頃を克服したようで嬉しかった。意識せずとも身体が揺れていた。

 LIFEの再現はアルバムを逆から演奏するというものだった。ちゃんと、例のオルゴールから。ここからはもうずっと、手を振り上げ、大声で歌いながら、今ここにあるLIFEを味わっていた。いつもは音楽を聴きながら余計なことを考えてしまうが、今日は違った。ここまで純粋に音楽を楽しめたライブは初めてだった。小沢健二のライブは感傷的になって絶対に泣いてしまうのに、今日はずっと笑顔だった。大好きな『僕らが旅に出る理由』のイントロをストリングスで聴けたときは流石に泣きそうになってしまったけれど。

 帰りにライフでアイスを買った。ハーゲンダッツと、母親が好きだったソフトクリーム。今日くらいは、カロリーとか気にせずに食べてもいいよ、うん。特別な日なんだから。

 LIFEが発売されたちょうど30年前の今日は、自分は生まれていなかった。なんせ父親が自分と同じような歳だったときだ。オザケンがMCで「30年を振り返るとあっという間だけど、30年後って気が遠くなるほど未来だ」と言っていた。僕は父親と同世代の人たちの気持ちはわからないけれど、周りの大人たちはこの30年間を振り返りながらこのライブに参戦していたのかもしれない。忘れられない恋や、癒えない傷を抱えて、楽しい経験も苦い経験も、過ぎて行く日々を踏みしめて、大人になって、今日ここにいるのかもしれない。そして自分も、30年後にまた小沢健二の『LIFE』を聴くのかもしれない。今日ここに来ていた、かつて若者だった自分と、たくさんの思い出を想いながら。


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