第21回『幸太郎との出会い』

うぃす! 大阪男塾の塾長です。

一度はクビになったものの、再び同じホストクラブで、働くことになった僕。

出戻ったのはいいんすけど、みんな露骨に無視、無視、無視。

どんなに笑顔で話しかけても、一切僕の顔を見てくれません。

「ほんま、こいつらタダでは済まさんぞ!」とこの頃は毎日、復讐の炎をたぎらせてました。

僕が今にも闇堕ちしそうだった2004年9月16日。

ある男がホストクラブに、新人として入ってきます。

彼の名は幸太郎。

僕は今、大阪男塾というトリオでお笑い芸人として活動してるんすけど、幸太郎はツッコミ担当です。

現在、幸太郎はお笑いトリオのメンバーですが、最初は僕の後輩という関係性でした。

忘れもしない9月16日、
彼が新人ホストとして入ってきたとき、同じ日にあるホストが入ってきたんすよ。

そいつは北新地でナンバー1という、すでに輝かしい実績のヤツで、まあ自信にあふれてたっすね。華やかでした。

一方の幸太郎は「デクノボウここに極まれり」って感じで、まあパッとせずにダサいんすよ。

当然、お店の人間は北新地ナンバー1の方に群がります。

幸太郎は、ひとりぼっち。

でも僕からすると、ぼっちの幸太郎という状況が願ったり叶ったりでした。

集団無視という陰湿なイジメを受けていた僕は、心の底から仲間を欲していたんすよ。

なのですぐに「こいつや!幸太郎を俺の支配下にいれよう」って考え、お互いUKロックやヒステリックグラマーが好きだったこともあり、さらに飯を奢ったりして距離を縮めました。

正直、幸太郎は人に無関心で異性と積極的に距離を詰めていくタイプでは無いし、
淡々としていて人の心を動かす話はできないし、自発的に何かをやるタイプではない、
つまりキャストとしての適性はあんまなかったっす。

「こいつホストとして大分、苦労しとるなあ」と思いながら、彼を見てました。

ある日、難波を歩いていたら、あるビルから見たことのある男が、ぬっと出てきたんすよ。

幸太郎でした。

なんと幸太郎が出てきたのは、消費者金融の店舗。

思わず「おい、幸太郎。お前何してんねん?」と呼び止めました。

幸太郎は「売上がないんで、給料は0、しかもお店に罰金を支払わなんとダメなんです。……でも金がないので」と、説明してくれました。

「わかった。俺がお金貸したるから、すぐに消費者金融で返済してこい。利子の支払いとか意味わからんやろ」と、お金を渡したんすね。

当時のホストクラブは、売上がないキャストに罰金を支払わせるシステムがあったんですよ。

最初の一ヵ月で、担当をつけられなかった幸太郎。入店後、すぐ数十万円の借金を背負うことに。

それでにっちもさっちもいかなくなり、消費者金融へ駈け込んだんすね。

幸太郎自身もホスト時代のトータル売上は8,800円
「このままホストを続けていくのは難しい」と感じてたみたいっすね。

幹部連中からは「幸太郎厳しそうやけど、どないする? やっぱクビか?」という噂も

このままではいかんと、僕は、
仲違いしている幹部の元へ。

「あいつはキャストとしては難しいけど、真面目で信頼できるヤツです。黒服として置いとけば店に大きなメリットあります。なんやったら僕があいつの給料支払ってもええくらいですよ!」と、プレゼンしました。

それがみんなに響いたようで、幸太郎を新人教育担当の黒服として残すことに。

そのあと、僕が独立してお店を立ち上げるときも、彼はついてくることになります。

今は幸太郎は経理の仕事をしてます。

思えば、2024年で幸太郎と出会って20年目になるんで、めっちゃ長い付き合いっすね。

僕はよく幸太郎に八つ当たりするんすけど「八つ当たりも、お前の給料に反映されてるからよろしく」と、了承してもらってます。

僕に八つ当たりされた幸太郎は、そのあと決まってBARへ繰り出してバーテンダーに愚痴ることでストレス発散。

当然BARにお金が入る。

こうして経済が循環していくんすね。

今回は幸太郎について書きましたが、大阪男塾のサモハンキンポーことレオンと出会うのはまだ数年後の話。

最後まで読んでもらって、あざしたぁ!!

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