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ヴェネツィア物語

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ヴェネツィアのマンマから学んだ家庭料理と暮らしの極意、ヴェネツィアをめぐる物語。
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#本当の豊かさを求める都市型スローライフ

ヴェネツィア物語

これから長々と私のヴェネツィア物語をお話しします私たち夫婦は、縁あってヴェネツィアとそこに暮らす人々に出会いました。 これまで長い間通い続け、そのコミュニティーに身を置き、自然環境と シンクロした昔ながらの暮らしに触れてきました。 #都市型スローライフヴェネツィア的生活ヴェネツィア、とりわけヴェネツィアのマンマに出会って、確実に人生が 変わったと思っています。 生活の質、ほんとうの豊かさ、自分らしく生きるということーー。 多くの人にヴェネツィアで暮らす人々の生活を知ってもら

ヴェネツィア病

ヴェネツィア病、この重い病にかかってからずいぶん長い歳月が 流れました。私が最初にヴェネツィアを訪れたのは、 今から35年ほど前のイタリア旅行中のことでした。 ヴェネツィアとの出会いは衝撃でした その時の衝撃は、いつでも皮膚感覚まで伴ってリアルに脳内再生することができます。よく晴れた冬の午後、乗っていたタクシーボートがカナルグランデを抜け、サンマルコの広い水際へと放たれるように出ていった瞬間、 切るような冷たい風を受けながら私はいわゆる「ぶっとんだ」状態になり、恍惚として

暮しの手帖とヴェネツィアと

亡き母は「暮しの手帖」の熱心な愛読者であり、この本は子供の頃から いつも私のそばにありました。今の私のライフスタイルの原点といえる ものかもしれません。 1969年発刊「戦争中の暮らしの記録」 1969年発刊の「戦争中の暮らしの記録」も、今も古びたまま実家に置いて あります。はじめて読んだのは、中学生の頃でした。 戦争中の日々の暮らしの細かな描写や普通の人々の物語は、それまで見聞きできなかったことばかりで、興味は尽きず何度も繰り返し食い入るように 読みふけったものです。 集

ヴェネツィア名物エル・サオール    ①おしゃべりがご馳走

誰もが夢見るヴェネツィア暮らし。 それは、私たちがちょっと忘れかけている濃いつきあいのコミュニティーに身を置く暮らしです。イタリア人の中でも飛びぬけておしゃべりな ヴェネツィア人、常に最大級のコミュニケーション力を要します。 #チャーオで始まるヴェネツィアの1日 *アパートの中庭コルテ *夕暮れ時のフォンダメンタ パリから夜行列車に乗って、朝のヴェネツィア、サンタ・ルチア駅に着く。 ここから目指す家まで荷物を曳きながら歩いていくのが常でした。 近所のバルビエレ(床屋)