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ヴェネツィア物語

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ヴェネツィアのマンマから学んだ家庭料理と暮らしの極意、ヴェネツィアをめぐる物語。
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#ヴェネツィアの暮らし

ヴェネツィア物語

これから長々と私のヴェネツィア物語をお話しします私たち夫婦は、縁あってヴェネツィアとそこに暮らす人々に出会いました。 これまで長い間通い続け、そのコミュニティーに身を置き、自然環境と シンクロした昔ながらの暮らしに触れてきました。 #都市型スローライフヴェネツィア的生活ヴェネツィア、とりわけヴェネツィアのマンマに出会って、確実に人生が 変わったと思っています。 生活の質、ほんとうの豊かさ、自分らしく生きるということーー。 多くの人にヴェネツィアで暮らす人々の生活を知ってもら

ヴェネツィア名物アクアアルタのお話

Aqua alta= #アクアアルタ は直訳すると「高い水」という意味で、 ヴェネツィア名物の高潮のこと。 よくヴェネツィアは沈んでしまうの? と聞かれますが、正しくは水没ではなくて冠水です。 月の満欠けによる潮の満ち干に加えて季節風(アフリカから吹いてくる シロッコ)や気圧の変化、それに降雨など複数の条件が重なって ひき起こされる気象現象なのです。 近年では地球温暖化による海面上昇も大きな要因になっています。 サン・マルコ広場はアクアアルタの名所 アクアアルタになると、必

ヴィーノのある暮らし

ヴェネツィアの食卓にはワイン、つまりヴィーノが欠かせません。 まだパパ・ヴィットリオがいた頃、階下のマガゼン(ヴェネツィアの建物はたいがい1階部分が倉庫兼酒蔵になっている)からその日に飲むヴィーノを持ってくるのは、一家の酒番であるパパの役目でした。 どのヴィーノを飲むかは、料理に合わせるのはもちろん、 その日のお天気や気温しだい、あるいは気分しだい。 晴れた日にはビアンコ、汗ばむような暑さだったらキリリと冷やし、 肌寒いなと感じたらロッソ。 日の高いうちはビアンコ、暗くなった

メルカートへ行こう

ヴェネツィアで真っ先に行くべきところ、それはサンマルコ広場でも アカデミア美術館でもなくリアルトのメルカート、つまり市場です。 私がイタリア語、そしてヴェネツィア語を体得したのも、 マンマと連れ立っていく市場という野外教室でした。 そこには日々の食卓にのる幸せや、生き生きした人生そのものがあります。 朝のカフェを飲みながら 朝のカフェを飲みながらマンマとその日の献立の相談。 「昨日は何を食べたっけ」に始まり、ヴェネツィア独特のリチェッタ (レシピ)や体にいい食べものについ

アクアアルタの季節に

ヴェネツィア名物Aqua alta= #アクアアルタ(高潮)は、月の満欠けによる潮の満ち干に加えて季節風(アフリカから吹いてくるシロッコ)や 気圧の変化、それに降雨などによってひき起こされる気象現象です。 毎年これらの条件が重なることの多い10月末から11月にかけての時期、 晩秋によく起こります。 #アクアアルタという日常 町中が水浸しになるアクアアルタに驚いて右往左往するのはやはり観光客 であり、住民たちは慣れたものです。 潮の満ち干による自然現象なので、しかるべき時間

愛しのマイアリーノ〜ヴェネツィアのキッチンから

イタリアで食事に招かれた時は、 心と体のテンションを上げて立ち向かう必要があります。 彼らが本気モードで用意した食卓は、質量ともにかなりの重さ。 まず小食なんて許されません。覚悟を決めてがっつり食べる。 そして食べると同時におしゃべりにも加わらなければいけません。 おしゃべりも料理と同じくしっかり味わうものなのです。 おしゃべりもご馳走 老若男女問わずイタリアの人たちは、大量にしゃべるのと同じ口で、 どうしてあんな速度で飲んだり食べたりできるのでしょうか。 決定的に咀嚼力が