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ヴェネツィア物語

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ヴェネツィアのマンマから学んだ家庭料理と暮らしの極意、ヴェネツィアをめぐる物語。
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2020年10月の記事一覧

ヴィーノのある暮らし

ヴェネツィアの食卓にはワイン、つまりヴィーノが欠かせません。 まだパパ・ヴィットリオがいた頃、階下のマガゼン(ヴェネツィアの建物はたいがい1階部分が倉庫兼酒蔵になっている)からその日に飲むヴィーノを持ってくるのは、一家の酒番であるパパの役目でした。 どのヴィーノを飲むかは、料理に合わせるのはもちろん、 その日のお天気や気温しだい、あるいは気分しだい。 晴れた日にはビアンコ、汗ばむような暑さだったらキリリと冷やし、 肌寒いなと感じたらロッソ。 日の高いうちはビアンコ、暗くなった

メルカートへ行こう

ヴェネツィアで真っ先に行くべきところ、それはサンマルコ広場でも アカデミア美術館でもなくリアルトのメルカート、つまり市場です。 私がイタリア語、そしてヴェネツィア語を体得したのも、 マンマと連れ立っていく市場という野外教室でした。 そこには日々の食卓にのる幸せや、生き生きした人生そのものがあります。 朝のカフェを飲みながら 朝のカフェを飲みながらマンマとその日の献立の相談。 「昨日は何を食べたっけ」に始まり、ヴェネツィア独特のリチェッタ (レシピ)や体にいい食べものについ

アクアアルタの季節に

ヴェネツィア名物Aqua alta= #アクアアルタ(高潮)は、月の満欠けによる潮の満ち干に加えて季節風(アフリカから吹いてくるシロッコ)や 気圧の変化、それに降雨などによってひき起こされる気象現象です。 毎年これらの条件が重なることの多い10月末から11月にかけての時期、 晩秋によく起こります。 #アクアアルタという日常 町中が水浸しになるアクアアルタに驚いて右往左往するのはやはり観光客 であり、住民たちは慣れたものです。 潮の満ち干による自然現象なので、しかるべき時間