出番はあった　けど　～大変フツーの 新しい生活　その 268 ～

むかしむか～し。
あるところに　
自分で耳掃除ができない人が　いました。
結婚してからは　ず～っとご主人が
耳掃除してくれていましたが
その　ご主人が　
単身赴任することになりました。

奥さんは　たいっへん困りました。
が　何とかするしか　ありません。
で　何とかしました
おわり。

耳掃除。
あの　棒を突っ込むのが　怖くって。
主人が　耳掃除してくれてるときは
耳だけ動かさないようにして
よく　バタバタ　暴れてたよ。

でも　主人の単身赴任のおかげで
何とか　克服。
人間　追い詰められりゃあ
何とかするもんよ（笑）。

しかし　
先日のこと。
自分で耳掃除をしていて
ふと　思ったのだ。

耳掃除　
ちゃあんと　できてるのかな。

耳掃除をすると
収穫は　ある。
でも　実は　
「できてるつもり」
なだけで
実は　在庫が　たっくさん
という　可能性も　ある。

むむむ。
確認する術は　ひとつ。
久しぶりに
お願いしようかな。

主人に　声をかけた。
「あのね　耳掃除できてるか
　見てくれる？」

そのときの主人のおめめは
忘れられない。
とっても　
キラキラしてたのだ。

昔のワタシとしては
人の耳掃除させてるなんて
申し訳ないなぁ。
と　思ってたから
耳掃除をしてもらう度に
ちゃあんと　お礼を言ってたのだ。

「すまないねぇ」
「いいよぉ」

どうやら　
ワタシの耳掃除は
密かな楽しみだったらしい。
そういや　
大漁だったときは　うれしそうだった気が
する（汗）。

しかし　すっかりなくなってた
その楽しみが　
今宵　復活するのだ。

家事をしながら　お願いしたんだけど
終わったときには
道具を持った　うれしそうな主人がっ。

ピンセットだけでなく
耳穴を照らしてくれるライト付き耳かきは
既に　点灯している。

………こんなに　喜ぶとは。

久しぶりに　主人の太ももにアタマを載せ
耳を　見てもらう。

耳かきって　たま～に　
痛いトコに　当たるのよね～。
当たりませんように。
ドキドキ。

主人は　しばらく　
耳をゴソゴソしてたけど　反応が　イマイチだ。

「どお？」
「………ない」
「え？」
「掃除されてる」

やった～。

ゴキゲンになった　ワタシと
ガックリ度　急上昇の　主人。

「（ないなら）もう　いいよ」
「もうちょっと」
「ええ～」
ゴソゴソ　ゴソゴソ。

主人は　しばらく　頑張ってたけど　
ほぼ　収穫ナシ。
反対側も　やはり　収穫ナシ。

せっかくの巧の技（？）を
発揮できなかった主人。

つまんなさそうだったけど
ワタシが　
ちゃあんと耳掃除できるようになってたから
いいじゃん。

巧の技　寝るがよろし（笑）。