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2024.09.07 モドラ

ブラチスラバで土産屋に入ると、チェコの有名キャラクターもぐらのクルテクや、オーストリアのクリムトの接吻のグッズが売っている。スロバキアには、土産になるような世界的に有名なものがないのだろう。

その中に紛れて陳列してあるのが、モドラ焼きである。
白地に黄色、青、赤など鮮明な色で大輪が描かれている。

モドラというのは、ブラチスラバからバスで1時間ほどの距離にある地名だ。機会がある時に行きたいと駐在当初から気になっていた。
今週ブラチスラバのイベントサイトを見た際、同地でワインフェスティバルが開催されることを知り、今日足を運ぶことに決めた。

モドラは、ワインでも有名だ。
特にフランコフカ・モドラという種類は、女帝マリア・テレジアも好んで飲んでいたとされる。フェスに並んでいれば手に取りたいと思いながらバスに乗り込んだ。

長距離用の路線バスには、停留所ごとに多くの乗客を乗せた。おかげで、通路に立っている人もいた。それほど人気のあるイベントなのかと期待が膨らんだ。
“Modranse Vinobranie”と書かれたゲートを潜ると、最初に出迎えたのはチーズの出店。そこからハンバーガー、ローストチキン、トゥルデルニークなど屋台が並び、どれもいい香りを放った。
50mほど歩くと、観覧車やバイキングなどの移動式遊園地ゾーンに到着し、右に曲がるとようやくワイン試飲会場があった。

10店舗、各最低5種類のワインを置いていたので、50のワインを試飲できる。5ユーロ支払うと、グラスが渡され飲み放題となる。あまりの安さに、参加のニ文字が頭をよぎった。だが、よく見るとしっかり一杯注がれており、酒が弱い私には危険だった。

出店が並ぶと必ずある、花のカチューシャ。大人もつける伝統的なアクセサリー。

泣く泣く会場を後にし、手作り市場エリア、特設ステージゾーンなどを回った。来場者は皆、プラスチックコップに黄色いジュースを入れたものを飲んでいた。よく見ると同じ色の液体が入った1.5Lペットボトルを店頭に置いた店も多く、看板にはBurčiakと書かれていた。
途上国ではペットボトルにガソリンを入れて売っているのを見てきたからか、この液体もなんとも怪しい雰囲気を醸し出す。だが、ここはヨーロッパ。店員に中身を問うと、ぶどうジュースに5%ほどのアルコールが入ったものと説明を受けた。
一杯頼むと、100mlほど注がれたコップを手渡され、0.7ユーロをねだられた。安い。

一番右がBurčiak。なぜかこれだけペットボトル。

街を歩きながら飲むと、美味しい。説明通り、ぶどうジュースに近い。イメージとしては、シードルのぶどう版。いい気分になりながら、本日のランチ会場を探す。屋台にしようかとも思ったが、せっかくならモドラワインを飲みたいと思い、レストランに入った。

牛肉のタルタルと赤のモドラワイン。料理も以前から気になっていたメニュー。
パンににんにくを擦り、肉と玉ねぎを乗せて食べる。赤に合って美味しい。半分ほど食したとき、70代ぐらいの老夫婦に声をかけられた。どうやら相席したいらしい。スロバキア語で話しかけてくれたが、Nehovorím slovenský, prepáčiteというのが精一杯だった。ここでもっと話せるだけの言語力があれば...と悔しかった。

レストランを後にすると、ほろ酔い状態のまま、中心部から徒歩20分南に下がったモドラ焼きの工房へと向かった。ツアーもやっていそうな雰囲気だったが、全てスロバキア語だったので店だけ覗いた。さらに20分東に行った別の工房も見たが、到着早々に見たアンティークショップの皿が良さそうだと思った。

街中に戻り、暗い店内でギターを弾く渋いお爺さんの店に入った。
特に構うわけでもなく、延々と悩む私を放置してくれた。あれこれと声をかけられるより、安心できる。優柔不断の私はスープボウルか皿か悩み込んだ末、後者にした。典型的なモドラ焼きの柄を入っていた方がいいと思ったからだ。

昼間に飲んで美味しかったペットボトルのBurčiak、屋台に並んだパンを2つ、気になったハチミツ屋の黒い蜂蜜を購入し帰路についた。
帰る頃には、昼間よりも人が増えていた。もしかしたら、ここからが本番なのかと思ったが、これ以上飲むと帰れなくなるため断念してバスに乗り込んだ。

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