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日記240531小説を書こうと思った

友達と3人で朝マックに行った。解散した後会話の記憶を辿りながら自己嫌悪に浸っていた。誰とも仲良くできないような気がした。将来なんてなくて、先はどこまでも灰色に霞んでいるだけで、どこにも行けないんだと思った。自分が嫌いだった。人間と上手くできないこと、責任の所在がまぁだいたいお互い半々くらいだと思ってたけれど、どうやら第三者から見て自分がおかしくて迷惑を一方的にかけているらしかった。自分が嫌いだった。どうでもよくなった。坂を上った。家に帰ったら首を吊ろうと思った。死んだ後に家族がどう思うかとか、さっきまで会っていた彼・彼女がどう思うかとかなんて、そんなことも無視できるくらい、もうすべてどうでもよかった。恐怖心をなくすために帰路の途中でお酒を買った。家に帰って、買った梅酒を一杯呷って、用意してあったなんとか結びで輪のできたロープを浴室に持っていった。お気に入りの曲が並んだプレイリストを流しながら、ゆっくりと輪に首を通した。手で身体を支えた。いろんな角度を試した。手を離した。全身から血の気が引くのを感じた。ぼんやりとしていた。するすると頭上から紐が擦れる音がした。体重に耐えきれなくて結び目がほどけた。死ねなかった。ちゃんとした結び方を調べるのも億劫だった。布団に横になった。大学に行かなければならなかった。面倒だった。バイトの欠席連絡を入れた。雨が降っていた。のそのそと外に出た。バスに乗った。マックで何の気なしに言った小説家になるという選択肢がまた目の前に浮かび上がってきた。どこかおかしくて、人に迷惑をかけてばかりで、まともな仕事ができなくて、そんな人間こそが就くような職業に思えた。やりたいこともなかった。お金を稼いだところで使い道もなかった。上手く生きられない人間だった。死んでもよかった。死にたかった。死ぬのが怖かった。死にたい死にたいと思いながらいつまでも死ねない人間だということもわかっていた。小説家になろうと思った。物語を信仰していた。生活と物語を混同していた。生きた人間とキャラクターを同列に見ていた。他人の生活を消費していた。自分の人生にも物語的価値しか見出せなかった。凡庸な人生なんて無意味だと思っていた。人生をエンタメだと思っていた。不謹慎な人間だった。物語に育てられ物語に殺される人間だった。やりたいこともなかった。なにか書こうと思った。小説家を目指してみる気になった。

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