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クライマキナ/CRYMACHINA キャラ感想(エノア一家編)

ネタバレ感想はなんかラスボス周りの話に始終しちゃった感あるので、キャラ感想は個別にこっちもネタバレ有記事として書きます。

あと花言葉に関するのは以前書いた記事があるので、こっちも一応リンク貼っておきます。


【レーベン】

アザミの花言葉「独立・厳格・人間嫌い」を如実に表しつつ、本編の行動を見ると「厳格……?」と疑問符が浮かび、本人自身「プロパトールはダメ神機」とダメ出ししています。

外から見たら厳格だったんでしょうが…
なおエノアの主観ではなくゾーエーやノエインからもそう見られていました
このようにボロクソの評価

内心は身内贔屓もいいところで「レーベン」となってからも若干独走と暴走癖のある困ったちゃん。
E.V.E化してからも「人間はクソ」だけは強く強くイデアコードに刻まれていたあたり、その失望感は尋常では無かった模様。

本編ではミコトが諭すように

という意見には同調しつつ、明らかにミコトやアミよりエノアLOVEが強い。強すぎる。
第一神機とかいう重荷と責務を放り投げた今は、情緒不安定で本当は泣き虫なくせに我慢する末っ子が可愛くてたまらない不公平極まりないダメ姉に見えてきます。
……よく考えたらベクトル違うだけでCRYSTARのみらいちゃん並にヤバくないかこのシスコン?(主にエノアのために自分を一度ぶっ壊す、エノアのために死を覚悟で吶喊する(二回も)、エノアがいないと生きられないとか言い出す……)

でもこんな笑顔を向けられたら仕方ねえよな!

※※※

そんな決して褒められた人格ではないレーベンですが、ラストバトルの「己自身に統括神機としての絶対命令権を行使して、反逆抑制機構を緩和する」シーンは、CRYMACHINAの締めとしてふさわしい反逆のエゴの爆発であり、大変燃える台詞です。

決意表明がそのまま設定上、
反抗できない相手に対しての切り札となるCRYSTARのラストバトルと同じ演出です

※※※

レーベンとのバトル曲「FightFirstDeusExMachina_Dearest();」が「NotToNotice();」のアレンジ曲なのもいい所ですね。
「NotToNotice();」はエノアが溢れ出す愛情や哀しみという本心を「私は機械だから知らんぷりする」という曲に対し、「FightFirstDeusExMachina_Dearest();」はレーベンがエノアたち家族に対して後ろめたさや独走に対して「知らんぷり」しているのをエノアが「家族なんだから一緒に業も責任も背負ってよ!」とマジギレしている曲です。
エデンや家族への愛情と第一神機の責務故に暴走していることを理解しつつ

LoadEnemyInformation●Leben●▼

と「敵はレーベン」と謡っているあたり、エノアが本当に怒っているのが伝わってます(プロパトールと言ってもいいのにあえてレーベンと言う)
エノアにとって目の前の相手はプロパトールというお父さんではなく、誰よりも大切で愛しているレーベンだからこそぷんすかしているのです。

【エノア】

体験版時点でもしやそうではないかと思っていたら、半分くらいのBGMに歌詞はなくともエノアのコーラスは入っていました。
「();」とタイトル末尾に入っている曲はボーカル入りみたいですね。
エノア役の遠野ひかるさんお疲れさまでした……。別に音楽が主題のゲームじゃないのにこんなに歌わされたゲームもたぶん珍しいと思う。
サントラが楽しみですな(販促)。

※※※

ホームビデオ映写というほのぼの案件を
この顔で言う

実際にゲームを起動してゾッとしたのは普段のエノアの無表情っぷり。
正直言って怖い。表情の硬さで12.7cm単装砲くらいなら受け止められそう。
天使の輪にアホ毛が通っているというチャームポイントが上手く緩和してくれているあたり、実に良い立ち絵です。
ちなみに神機は全員この二重光輪を背負っていますが、エノアだけ頭の上に浮いている状態ですね。

でも序盤時点でレティアやロゴスを破壊するたびに、台詞とは裏腹に表情は動かさなくても涙を流します。

で、こうして表層ではずっと自分の意志=エゴに目を背けていたエノアですが

そもそも「機械に感情なんてない」というのなら、ゲーム開始時点でプレイヤーが入手できる情報だけでも「E.V.Eが本当の人間と認められていない以上、大人しくノエイン派閥に投降するのが機械として正しいのでは?」というツッコミを入れられるのですが、本人は断固としてそれをしない。
だって、投降したら愛おしく見守り育ててきた仮想世界も、仮想世界で愚かしくも必死に生きてきた人間たち全てを否定することになるから。
何より、大切な家族であるE.V.Eを破棄コロしてしまうことになるから。

※※※

ところで、このエノアの仮想世界の肯定姿勢は結構メタ要素含んでますね。

バッサリ

この地味に地味になんの告知もなくアップロードされていた販促動画でも(そして販促する気あんのかという内容である)、この動画を見ている我々の世界がエノアの管理していた仮想世界であり、本編ED後であることを示唆しています。

「本当の人間」の歴史をそのままトレースする必要が無くなったため、離心病が起こらなくなった世界線に修正したと受け止めて良いのでしょう。

そもそも、エデンで再生されようとしていた「本当の人間」はこのような姿らしいです。

四本腕に三つ目。また、肌は筋肉がそのまま露出しているかのよう
下半身などはホモ・サピエンスと類似しているが
頭髪があるかどうかも不明

でも、レティアいわく敵勢宇宙人の電波攻撃かなんらかの事故により、重大なデータ損傷によって我々のような二つ目二本腕に頭髪を持つホモ・サピエンスになってしまい、上記画像のような「本当の人間」からすれば生理的嫌悪を催す怪物です。
こっちから見れば下手に共通点が大きいだけに不気味の谷間現象で上述画像のような人間の方が気持ち悪いのですが。

で、私が何が言いたいのかと言うと、上述のシミュレーション仮説による「この世界は上位存在の作った箱庭なのではないか」ということを否定する材料がほぼ無いと本作では断言しているのも含めてめちゃくちゃフィクション、サブカル全肯定のメッセージだな、と。

「この世界はどうせ元から狂っているし虚無」とMonarkでは開き直りに言ってましたがCRYMACHINAでも「この世界がどうせ夢幻かもしれないなら、アニメ漫画映画にゲーム等のサブカルも同じくらい尊いって思ってもいいじゃん」と開き直っている姿勢に思えます。
話が飛躍していると思われるかもしれませんが、エノアの「仮想世界で生まれた人格データも尊い命」「間違っていても壊れていてもこの世界も私の家族もみんな大切で、はなまる。だから奪って壊そうとするならお前を殺す」という姿勢は、サブカル全肯定に繋がっちゃうよな、と。

……これらを省みると、ノエインやアントロポスにレティアが「エノアはぶっ壊れている」というのはそれはそれで正しいです。
このゲームもMonarkも好きですけど、よく考えずに鵜呑みにすると真剣マジ危険アブねぇ思想を植え付けてくるおっそろしいシナリオしていますな……。

※※※

そして先述したレーベンのラストバトルの決意表明と自身への命令権発動が「CRY=咆哮」なら、エノアは「CRY=慟哭」担当。

正直に応えて
理論なんて捨てて
空っぽにしちゃって
意地っ張りはもう終わらせて

Can cry より
Can cry
その涙に艶や温度が無くても
Can cry
ずっと誰かの心に突き立って離れない
痛みが頬を撫でる

このシーンは「CRYSTAR」OPテーマ「can cry」が似合います。
エノア唯一の負の感情を家族相手に爆発させるシーンであり、この瞬間を待っていた。(S的な意味ではなく……)。
だからここまで泣かせて傍にいてくれって言った責任は取らないといけねーよなレーベンさん。

まじおこ
ぷんすか
はなまる

【ミコト】

ミコトは劇中で一時離脱する理由が首ちょんぱされてヨカナーン状態になるというだけで、精神的に折れたりヘコんだりすることが一貫して無いという、エノア一家の大黒柱的存在です。

リリーちゃんサロメモード

「カッコ良く生きたい」がミコトのモットーですが、周りにカッコ良さを見せつけるのが目的ではないです。そもそも見せても理解できる奴が今のエデンではロクにいないですし。
あくまでもどこまでもミコトの主観でカッコ良く生きたい。

「人生の最期に見えるのが走馬灯だとしたら、それは自分が主役の映画ってことじゃない? だからカッコ良く生きたい」
この発言からするに、むしろ「カッコ悪い自分を残したくない」という所も感じなくもないですね。
ここらへんは大人社会の酸いも甘いも経験したことがなく、さりとてミコトの数少なく語られる生前の家庭環境から「大人になったらカッコ悪い選択もしなきゃいけない」ことは理解しているようにも思えるので、俗世のしがらみから離れたE.V.Eとしてヨミガエった現状を謳歌しまくっている娘ですね。

そもそもミコトとアミがE.V.Eになってから箱庭を入手するまでの五年間はいつ死んでもおかしくない過酷な戦闘の日々だったそうなので、余計にカッコ悪いことはしたくない、というのをこじらせちゃった精神年齢二十六歳児とも……。

世間一般という冷めた目が無くなった異世界転生ではっちゃけちゃった、映画オタク女子という残念な見方もできるのがミコトというキャラクターです。
まぁそれでも逆境に対してカッコつけて立ち向かうんだから、やっぱりカッコいい。

※※※

ミコトは唯一生前背景の詳細が語られず、そのくせしてE.V.E適正が三人の中でもっとも高かったという謎の存在でもあります。

アミの方がイブのコピーであった、というのがイブ本人の発言ですがそれを考慮するとE.V.E計画とはイブを復活させることなのでアミがもっともE×Pへの拒否反応が出にくいはずなのに、ミコトより先にリタイアしています。
一方でミコトは首ちょんぱされた後の過剰供給ではさすがに拒否反応が出たようですが、E.V.E計画でのイブとは「旧人類のイブ」ではなく「リリーが思うイブ」だったのでミコトはそれに近い存在だったと定義できます。

アミの生前回想、ミコトのわずかな生前時の話(ただしこれはE×Pの浸食汚染込みの考慮する必要有)の二つを考慮するとたぶん本当に生前のミコトには妹がいた可能性が高いのだと思われます。
そのうえで「リリー視点のイブ」は「周囲から愛されなくても自分にしか成せないことを成そうとしていたかわいそうな姉」だったので、ようするにミコト自身が「周囲から愛も理解を得られない自分」「それに負けないくらいの克己心を持つ」は自覚していたようなので、そこがリリー的にはクリティカルヒット部分だったのかなと考えています。

……まぁ「誰からも愛されないお姉ちゃんを、全てを持っているリリーが愛してあげる」リリーちゃんの思惑と違って、旧人類でも徐冬、今生でもアミというライバルがいたのですが。
女の子同士ばっかりがくっつくゲームだな……(今更)。

【アミ】

劇中のプレイアブルキャラクターで、唯一壮絶な生前のバックボーンが描かれるアミさん。

語らずとも絵だけで伝わる
ウエダハジメ先生絵の破壊力よ…

トリニティたちや、亜人型ケルビムから拾える生前設定に比べればまだマシとはいえ……いやマシか?とやはり首を捻るレベルで壮絶。
下半身不随になるまでの怪我を負わせるとか何やったんだよアミパパ……。

壊れてしまった家族はもういらない、恋に恋する夢見る乙女。
というのはMonarkの遠野あかねの系譜を思い出しますね。Monarkでもとくにやべぇ女じゃねぇか。
そのうえで享年18歳+8年間のエデン生活で精神年齢26歳なので余計に拗らせているじゃねぇかやべぇぞこの女。

伴侶のミコトもその恐ろしさを度々語る……

アミは義体モードの角がまた、愛の重さを物語っています。

このユニコーンを思わせる角は「清純・純愛を求め、裏切られたら手のつけられない狂暴さを秘めている」の暗喩でしょう。
まぁミコトはどうもアミから生前の境遇を耳にしていない様子にも関わらず、その愛の重さと恐ろしさを感じ取っているようなので大丈夫でしょう。地雷を踏み抜いた女が最高の伴侶で本当に良かった。

※※※

また、なんだかんだ言ってリリーに対してブチギレのマジギレで殺す宣言をしておきながら、実際に交戦したらちゃんと生かしておいてあげていたり

世間の目を気にして壊れてしまった生前の家族を想ってか、カッコいいプラトニックラブ論を宣戦布告するなど「ヤバい奴」オーラを出しながらもギリギリの所で意外と自分の狂気の解放と抑制のコントロールができている娘だったりします。
普段の言動とは裏腹に見た目通り、エノア一家では一番精神年齢が上かもしれませんね。

※※※

ちなみにイブの「アミはイブのコピー」発言が正しいとすると、ミコトに恋に落ちるきっかけだった、E×Pへの拒絶反応事件での発言が重みを増してきます。

アミのこの発言は本作のテーマの一つであり
これに反逆する罪と行く末を描くのがエノア一家

戦線離脱=役立たずであることに自暴自棄になったアミに対してミコトは「アミの血の繋がった家族なんて知らない。帰る場所があるなら、待ってくれている人がいるなら家族だ。少なくとも自分はアミがいないと寂しい」と口説き落としたことでアミの価値観に革命を生み、そしてプロポーズだと思われてしまったわけですが……。

イブにだって、徐冬やリリーという帰る場所が実はあったことを考えると、この対比は悲しくなってきますね。

【総じて思ふこと】

やべぇなこの女子ども。

ヤバい連中じゃなきゃ、自分を創造した人類を絶滅させるという業を背負うわけがないので当然と言えば当然ですが。
「愛する者のためなら殺生を厭わない」は現実でもフィクションでも繰り返し問答され実行されてきたことですが、本作は親殺し、自分の生まれた意味を覆す、思い込みと暴走で周囲に不要で無駄な殺戮をしまくるというシナリオなので、やべぇ連中じゃなきゃ成立しない。

そんなヤバい連中が戦い抜いて絶滅戦争に勝ったうえで笑顔のエンディングというのは、字面だけ取り出すと不謹慎極まりないんですけど、総じてプレイしたうえでは感動できるという(当然、できない人もいるでしょうが)。

CRYSTARのプレイアブルキャラたちは「双子の悪魔被害者友の会」感が強く、Monarkの真生徒会メンバーは主人公の副長が(妹が関わらない限り)安心安全だったので安心できたのですが、CRYMACHINAのエノア一家は本当に危険。
……正直なところ、敵対するキャラたちにも共感する部分は多いので、それはまた次回の記事に書きたいと思います。

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