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浄い死を夢見て

私は今怒っている
自分の中にまだこんな感情があったのかと
驚くくらいに怒っている。

どこから話せば良いものか、1月は
色々な情勢も相まって本当大変でした。
時系列でいうと義父が流行病に掛かる
入院を勧められるも何故か義母が連れ帰る
連れ帰った翌晩には手に負えないと
私らに電話をかけてくる。翌日には義母も
発熱し感染が確定する。
救急車を呼ぶように説得しても周りの目が
とかなんとか言って動こうとしない。

その後ふたりとも快方に向かうも
高熱の後遺症からか義父は一人では
起き上がることも歩行も困難となり
会話もできなくなってしまいました。
当然排泄は介護おむつのお世話になり
翌日には「お父さんは頭がおかしくなった」
二人で心中すると半狂乱で朝な夕な電話を
私らにしてきたりで結局見かねた
ケアマネジャーさんの提案で小規模多機能で
今日までずっと義父は宿泊している。

一週間たったころでしょうか、また晩方に
義母から電話がありました。明後日に
リースのパラマウントベッドが届く
いま寝室にはダブルベッドがあるから
明日解体しに来いとのこと、???
寝耳にウォーター過ぎて意味がわからん
ベッド導入ははケアマネが勝手に決めたと
義母が言うがそんな訳はない、人の話を
聞かない義母なので適当に返事をしていたら
こういう運びになったのだろう。

それはよいとして、他にも部屋があって
トイレに近い部屋に置けば良いじゃない
ダブルベッドを処分したら貴女はどこで
寝るのですかと問うても、私は床で
雑魚寝する覚悟があるとか言って聞かない。
急に言われても私らも仕事があるのでベッドの
解体に関しては義弟に頼むことにした。

そこから一週間、不気味なほどに義母からの
電話はない、とはいえ義父の様子がわからない
電話で近々に会いに行くと伝えると、義父は
宿泊したまま一度も帰宅していないのだとか
であれば帰宅したときに伺いますと言うと
話があるから来いという。

翌日義実家に付くと仏頂面の義母が
お茶と一緒に介護施設の明細をバサッと
テーブルの上に広げてこう言った
毎月これだけのお金がかかっている
私の稼ぎでは到底やっていけない、ただちに
お金を回せと宣う。

私の稼ぎってどういう意味だろう
月の収入は義父が積み立ててきた年金で
何ならこの世帯は医療費負担が2割になるほど
周りと比べても十分な収入がある。

具体的に何にどれくらいの費用がかかって
いくら足りないのかきいてもそんなものは
わからない、よいから金を出せという。
全くもって会話が成り立たないな
今まで義父が管理していた通帳を義母が
管理するようになってからただでさえ
無駄遣いが多かったのに相談もなく
冷蔵庫を買い替えたりと金遣いが荒い。

夫婦のベッドがなくなって床で雑魚寝を
すると啖呵を切っていたのに義父がまだ
帰宅もしないうちから自身のベッドを
ホームセンターに注文もしてきたようだ。
食生活も私らより遥かに良い物を食べている
自身の生活の質を落とさないために私らや
義兄弟たちに金を出せって?
米びつが空いてきたからって切り詰めず
よその米びつに手を突っ込むような話
何一つ筋が通っていないじゃないのよ

そして、お父さんは頭がおかしくなった
こんな事になるなんて思っても見なかった
何もしないなら父を殺すのかと言い出した。
義父が家にいると息が詰まると言い
居ないと義父を思うと息が詰まるという

この人は何を喚いているのだろうか
来るべき時が来ただけなのに今までなんの
覚悟も理解もしていなかった事にただ呆れる
つい先月まで会話も食べて出すもできた義父
にも関わらず数日下の世話をしたら
何十年も老々介護をした被害者のような物言い
義父は愛玩動物でもなんでも無い、自分の
都合の良い時だけ一緒に居たいだなんて
わがままがすぎるのではないだろうか。

私は無償の愛は持ち合わせていない
誰かに優しくできる量は水差しの水のように
思っている、減った水はまた汲めばよいが
それにも時間がかかるのだ、今水差しを
逆さにしても一滴たりとも滴らないだろう。

私らは私らにできることしかできないし
実際認知症者とひとつ屋根の下にいないので
義母の気持ちもストレスもわからない
今までもできる限りはサポートしてきたが
あれから3日立っても私はまだ怒りと呆れと
情けなさが混じった感情に支配されている。

この人は私から見て義母、パートナーから
見ても実母ではない義父の後妻だ。
どこか一線を引いて、私ら二人がこの人と
本音で対話をしてこなかったことが悪いのか
介護疲れで精神的にまいっているのだろうと
細かいことを言わなかったのがいけなかったか
それも今となってはどうでも良い。

認知症の義父の言う事に目くじらを立て
やれ離婚するだとか真夜中に何度も電話を
かけてきた時、実子を頼ってそうしてくれれば
義父の年金だけで今より遥かに良い設備と
環境で義父の介護ができるのにと
思ってはいけないことを思ってしまった。

頭ではわかっている、誰も悪くない
義母とて賛美歌を歌いながら清い死を
夢見ていたのだろう、義父はまだ生きている
残された時間を大切にしてほしい



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