時間を味方につけること

腕と肩の境目あたりを骨折したのだが、病院に行くと「これはひどい、すぐ手術しなさい。手術しても後遺症が残るだろう」という医者と、「このぐらいなら手術しなくても自力で治せるだろう」という医者がいる。

どちらを信用すべきなのか分からなかったし、私自身も骨折から1ヶ月経って固定していた布を外したときに、腕が全く上がらなくなったのには少なからず動揺した。そうなると、やはり悲観的なことを言う医者の意見をベースに考えるようになる。

おそらく、普通に過ごしていたのでは、完全には治らないのだろう。自分の症状は、楽観的な医者が言うものよりも深刻なのだ。そして、何らかの理由で、医者が普通想定していたケースとは少し異なる症例になっているのだ。というようなことを考えたりする。

しかし、この1ヶ月、リハビリをコツコツとやっていたら、だいぶ腕は上がるようになった。もちろん、まだ変なところが痛んだり、起きた瞬間は全然上がらなかったり、とかはある。でも、1ヶ月前とは全然可動域が違う。

ということは、少なくとも時間とともに快方には向かっているのである。だったらもっと鷹揚に構えて、いつかは治ると思って生きてればいい。そしてそのコツは、単純に生活を充実させること、別の建設的な目標を持つことにある。

いま振り返ってみて、そのように思えなかった理由は、自分の身体への不信であったと思う。治す力があるのだ、というふうに考えることができなかった。それでジタバタした。

しかしそれでは、本来治るものも治ってこない。自分が自分の身体を信じてやらなければ、身体の方も頑張って治しているのに張り合いがないだろう。私(頭)にできるのは、なるべく健康的な条件を整えてあげることと、あとは、どういうメカニズムになっているのかよく分からない身体の治癒力を、信用して待つことしかない。

焦れば時間は敵になり、鷹揚に待てば時間は味方になる。やるべきことを正しくやっていれば、基本的に時間は人生の味方である。そして、その「やるべきこと」は、淡々と続けられる内容と量でなければならない。続けること自体に苦痛が伴うようなものでは時間を味方に付けられない。

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