見出し画像

原因は自分の内側にある

「智に働けば角が立つ
情に棹させば流される
意地を通せば窮屈だ
とにかく人の世は住みにくい」
               夏目漱石 草枕

「頭のいいところが見えすぎると嫌われるし、情が深いとそれに流されてゆくし、意地を通せば窮屈に感じる。とにかく人の世は住みにくい」

と夏目漱石は草枕の冒頭に、人の世の住みにくさは人付き合いにあると書かれています。私たちはどうしても、何か苦悩が起こればその原因を自分の外に見ていくように思います。しかし、仏教では自分の内側にこそ苦悩の原因があると教えてくれます。


華厳経に「心は巧みな画師である」という言葉があります。ありのままにこの世界を見ておらず自分の心が作り出した世界を見ているということでありましょう。同じ景色を見ていても、怒りの心が作り出す世界は地獄となり、貪りの心が作り出す世界は畜生となり、正しい道理を知らず慚愧の心がないものの世界は畜生となり、その心が作り出した世界に苦悩しているようです。


私はよく「田舎は退屈だー!都会へ行きたい!」と言います。しかしもし万が一その願いが叶って都会で暮らすことができたとしても、「都会もつまらんなー」と言ってそうな気がします。つまらん人間である私が描き出す世界は、どこへいってもつまらん世界なのでしょう。
「原因は外にあるのでなく、内側にある」また今日も自分にそう言い聞かせます。


薩摩川内市 願生寺
亀田信暁

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?