「これは喜劇だ」

悲劇と喜劇は表裏一体。
フォーカス次第。

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人気喜劇作家のベル。
ナレーション「これは悲劇である」
どこかへ向かっているベルが道々、不運に見舞われる様子。
だが何処か滑稽で笑える。

家に帰ると、妻が出て行く準備をしている。
言い争う。
子供を亡くしたことを仄めかす。
喧嘩別れし、「クソが!」など出て行く妻に投げつける。
「だが、悲劇は、喜劇の始まりである」
そこへ王室からの使者がやってくる。

豪遊しており、他の劇作家たちを見下している。
王の前で上演する芝居を任されるが、ヒロインとしてキャスティングされたのは悲劇役者として知られていたジャーヌ。
調子に乗っていたベルをよく思わない業界の罠であった。
いやらしいプロデューサーに挑発され、意地を貼り、「やれますよ、当然」と大言壮語を吐き、請け負ってしまう。
負のオーラを漂わせるジャーヌと向き合い、頭を抱えるベル。
「いや、やはり悲劇だ」

向き合っているベルとジャーヌ。「暗いな」
何を読ませても悲劇的になってしまうジャーヌ。頭を抱えるベル。
芝居の稽古が始まるが、やはりジャーヌの芝居が噛み合わず笑えない。
共演者たちも不満を募らせ、居場所がなくなるジャーヌ。
ジャーヌに呼び出されるベル。

「舞台を降りたい」との相談。
そんなことは聞き入れられない、と、つっぱねるが、食い下がるジャーヌ。
「私のせいで」「私はどうせコネで」云々と愚痴をこぼすジャーヌに腹が立ってくるベル。
「お前それでいいのか、奴らを見返さなくて良いのか」など怒りに身を任せて叫ぶベル。
「お前に良い言葉をやろう。悲劇は、喜劇だ」など。

その日から、陰鬱で何もうまくいかず、最終的に子供と死別してしまう、という散々な目に合うヒロインを主役に据えた芝居に書き直す。
共演者や舞台美術家にも「これは喜劇です」と説得するベル。
発狂せんばかりの悲劇的演技を連発するジャーヌを見るたびに爆笑するベル。
皆、徐々に理解を示し始める。

が、そこで、王の子の訃報が届く。
芝居の筋書きを変えるべきか悩むベル。
飲みに行った酒場でどうしようもない演劇を見る。
そこで元妻に再会する。
元妻と話す。
ベルも子供を失った過去があり、それが原因で妻と別れた過去。

稽古場。
ジャーヌの真っ直ぐな目を見て、芝居の筋書きは変えない、と宣言するベル。「これは、絶対に、喜劇である」

王前芝居当日。
最高に陰惨な芝居で、多いに観客は引いている。
そんな中、子供を失うシーン。
王は泣きながら笑っていた。

快く思わない業界に、王室をバカにしている!とゴシップを書かれ、場所を追われるベル。

酒浸りになる。
妻に、あなたと別れたのは、子供を失ったからではなく、他の人間と恋に落ちていたからだ、と追い討ちを掛けられる。しかもその相手は、ベルを追いやった張本人であった。
子供を愛してなどいなかった、と言い放ち、去る。

死のうとするベル。
そこへジャーヌ。「何もかも終わりだ、この世は悲劇だ。と叫ぶベルに、「悲劇は喜劇です」と凛として言うジャーヌ。

ベル、震える手でペンを持ち、原稿を書き始める。
一文目が映る。
「これは、喜劇である」

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おやすみなさい。

読んでいただきありがとうございます。血が沸騰していますので、本当にありがとうございます。