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第1回初心者のための機動戦士ガンダム解説『宇宙世紀のはじまり』

 どうも、はじめまして。ゲームやプラモデルなどで、ガンダムは知ってるけど、詳しくは知らないという方にもっと興味を持っていただけるように解説記事を執筆することにしました。初心者の方にもできるだけ解りやすいように書いていくつもりなので、詳しい方には少しもの足りない内容になるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

●宇宙世紀とは?

 『機動戦士ガンダム』の舞台は宇宙世紀です。“Universal Century”略して“U.C.”とも呼ばれます。人類が宇宙に移り住むようになった年に西暦から宇宙世紀へ改暦されました。

 宇宙への進出と聞くと、前向きなイメージとして捉える方は少なくないと思います。しかし、ガンダムの世界では非常に後ろ向きな理由からスタートしています。

 第二次世界大戦後、人類はどんどん増えていき、総人口は遂に90億人に達しました。その結果、地球の環境破壊が進み、近い将来には生物の住むことができない“死の星”になってしまうという研究結果が発表されたのです。

 そこで地球を人類の手から自然へ返し、地球環境の回復を目的として、宇宙移民が始まりました。

●スペース・コロニー

 宇宙へ上がった人類は“スペース・コロニー”と呼ばれる巨大な筒状の人工衛星に住むことになります。内部は地球の環境と酷似しており、空気や水、食料などを生産することもできます。ひとつのコロニーには約1000万人が生活できるようになっています。

 コロニーはラグランジュ・ポイントという地球と月の引力のバランスが取れた場所に配置され、それぞれのコロニー群のことを“サイド”と呼び、個別のコロニーを“バンチ”と表します。例えば、“サイド5の20バンチ”というと、どのコロニーなのか特定できる訳です。

 また、コロニー以外にも月面に都市を作って、人々が生活するようになります。“フォン・ブラウン市”や“グラナダ”が代表的な月面都市です。

●地球連邦軍の創設

 宇宙移民を行うためには、世界各国が一丸となる必要があります。「我が国はコロニーを作る技術がない、買うお金もない、そもそも宇宙に移るつもりもない」なんてことを言っていたら、地球が終わってしまいます。

 そこで世界各国の上に巨大な政府“地球連邦政府”を作り、世界をひとつの連邦国家にしました。しかし、それでもまとまないのが人類の性なのでしょうか。誰が主導権を握るのか、コロニー建造費はどのように負担するのか、宇宙資源の利用権はどうするのかなど、揉めに揉めまくります。遂には連邦政府に対する抗議デモやテロ事件まで起こってしまいました。

 困った地球連邦政府は“地球連邦軍”を創設し、軍事力を背景に反対派を黙らせます。地球を蘇らせるためには時間がないのです。

●宇宙移民の実行

 紆余曲折ありながらも遂にスペース・コロニーを完成させ、宇宙移民が始まります。しかし、90億人もの人々を移民させるほどのコロニーは一度には作れません。長いスパンで順番に宇宙に送り出すことになります。

 宇宙移民など前例がありませんから、人々が不安に思うのは当然の話です。そこで大々的な宇宙移民キャンペーンを展開します。希望者には住居、家財道具、仕事を与え、必要な者には職業訓練や言語教育も施すなど、多数の優遇措置を行いました。

 その結果、宇宙に希望を抱く若者や生活困窮者たちを中心に希望者が殺到したのです。また、彼らの頑張りで宇宙にひとつの経済圏が誕生し、後に続く者たちへの不安を和らげることにも繋がり、宇宙移民は順調に進んでいきました。

●エレズムの誕生

 しかし、いくら宇宙での生活も悪くはないといっても、地球を離れたがらない人々は多数いました。先祖や愛する家族が眠る土地を離れたくない、たくさんの土地や設備を持っているのに捨てるようなことはしたくないなど、理由は様々です。連邦政府はそんなわがままは聞いてられないと、強制移民を断行します。

 こうして、U.C.0040年には総人口の40%の移民が完了しました。この頃になると、ゆっくりではありましたが、地球環境は回復の兆しを見せており、強制移民させられた人々にも心境の変化が見られるようになり、いつしか「地球を人類共通の聖地として保護し、人類はすべて宇宙に住むべきだ」という“エレズム”と呼ばれる思想が広がっていきました。

 また、この頃にはコロニーに住む人々を“スペース・ノイド”、月に住む人々を“ルナリアン”、地球に住む人々を“アース・ノイド”と呼ぶことが一般化されていました。

●重力に魂を引かれた人々

 地球環境の回復は地球に残留していた政治家や官僚にも大きな影響をもたらしました。宇宙移民計画が持ち上がった頃から代替わりしており、危機感を失っていってしまったのです。

 自分たちは選ばれた人間だとエリート意識を強め、宇宙に追い出されたスペース・ノイドは自分たちに管理されるべき存在だと差別意識を持つようになります。

 それは政策にも現れ、コロニーの維持管理費を名目に重税をかけたり、サイド間の物資の輸送に高い関税をかけるなど、コロニーの名の通り植民地として扱ったのです。

●スペース・ノイドとアース・ノイドの対立

 U.C.0051年、110億人となった総人口の内
90億人の宇宙移民が完了した時点で、連邦政府は新たなコロニーの建造を凍結しました。

 地球環境保全のためには、この程度の人口は必要であるということを名目にしていましたが、実際にはコロニー建造にかかる費用を自分たちのために使いたいというのが本音です。

 エレズムが浸透し始めていたスペース・ノイドたちはこれに不満を覚え、宇宙移民は棄民政策だったのではないかという不信感を抱くようになります。

 こうして、スペース・ノイドとアース・ノイドは対立を深めていくようになったのです。

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