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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『ミデア』

●開発経緯

 戦争において、前線へ補給物資を届ける輸送機の役割は非常に重要です。滑走路のない最前線への輸送には、ヘリコプターや車両が用いられていましたが、ヘリコプターでは積載量や航続距離に難があり、車両では迅速な補給を行うことができないという問題がありました。そうした問題を解決するため、地球連邦軍によって、開発されたのが“ミデア”です。

●着脱式コンテナを採用

 本体に貨物室はなく、着脱式コンテナを機体下部に懸下して、輸送を行う仕組みになっています。コンテナを切り離すことで、効率良く搬出作業を行うことができ、場合によってはコンテナごと引き渡すこともあります。そのため、コンテナを切り離した状態でも安定した飛行が可能となっています。

コンテナを切り離した状態

 また、ペイロードは160tもあり、一度にかなりの量の補給物資を輸送することができます。これは公国軍の大型輸送機“ファット・アンクル”の140tを上回ります。

●VTOLを備えた短距離離着陸機

 本機は後退角の小さい長大翼を備えた高翼機となっており、短距離離着陸を行うことができます。横に広がった大きな翼を本体よりも高い位置に設置することで、揚力を得やすくなり、飛行態勢に入るまでの助走が短くなるという仕組みです。

 また、降着装置に低圧タイヤとローターが取り付けられたことで、エアクッションによる不整地への着陸も可能になっています。また、このローターを用いた垂直離着陸も可能です。

●物資輸送に特化した性能

 推進機関には熱核ジェットエンジンが採用され、本体上部に4機、両翼下部に1機ずつ搭載されています。最高速度はマッハ0.82と旅客機と大差ありませんが、莫大なペイロードを備えた輸送機としては十分なものではないでしょうか。

 さらに太平洋を横断できるほどの航続距離を持ち、補給基地から世界各地に物資を届けることができました。

 その反面、武装は最低限となっており、交戦能力は皆無に等しく、基本的には護衛機が付くことになります。

●公国軍勢力圏を縫うように飛び回る

 一年戦争が勃発し、公国軍による地球侵攻作戦が開始された後、本機は活躍を見せることになります。公国軍の勢力圏を縫うように飛び回り、各地の部隊に補給物資を届け、連邦地上軍を支えたのです。

 連邦軍もMSを投入するようになると、MS輸送機としても活躍します。当初はMS開発以前の輸送機ということもあり、コンテナにMSを強引に積み込んでいましたが、後にMS用コンテナに換装されています。空挺作戦にも対応しており、一旦ミデアを着陸させることなく、MSを発進することができます。

“ミデア”

●スペック

全高:15.9m
全長:45.0m
全幅:67.7m
全備重量:245t
ペイロード:160t
最高速度:マッハ0.82
主な搭乗者:マチルダ・アジャンほか連邦軍兵士

●基本武装

○2連装機関砲
 コックピット下や両翼部に内装されています。威力自体はそれなりにありますが、機体の運動性が低く、あくまでも自衛のものでしかありません。

●戦後も輸送任務で運用される

 一年戦争末期には着脱式コンテナを廃した一般的な輸送機の形状に近い、後期型が生産され、戦後も運用されています。

 着脱式コンテナが廃止されたのは、空気抵抗が大きく、飛行能力を低下させてしまったことや固定具の破損などで落下事故を起こすことがあったなどが考えられます。

 また、“ミデア”という名称は元々メーカー名で、VTOLを備えた輸送機全般が“ミデア”と呼ばれるようになったという資料も存在します。我々が軽飛行機全般を“セスナ”と呼ぶのと同じです。そういう意味でも歴史に名前を残した名機と言えるのかもしれません。

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