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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『ザンジバル級機動巡洋艦』

●開発経緯

 ジオン公国軍は地球連邦軍との戦いを見据えて、サイド3と地球という長距離の補給線維持を目的に本級を開発しました。

 公国軍では唯一の大気圏内外での運用を前提とした万能艦で、単艦での大気圏突入、大気圏内での巡航が可能なほか、ブースターを装着することで大気圏離脱を行うことができます。

 開発自体は“ムサイ級軽巡洋艦”の就役直後からスタートしており、一番艦はU.C.0076年6月には竣工していますが、実戦投入されたのは一年戦争後期になってからだと思われます。

●大気圏内での運用

 推進機関は熱核ロケットエンジンと熱核ジェットエンジンのハイブリッド方式となっています。ミノフスキークラフトは搭載されていないため、重力圏内では主翼とリフティングボディによって揚力を得ることで飛行します。離着陸には滑走路やそれに準ずる地形が必要になるため、艦艇というよりは航空機に近い運用となります。

 そのため、重力圏内ではペガサス級ほどの柔軟な運用は難しく、燃料の消費も大きいため、地上での大規模戦には投入されませんでした。

 また、大気圏離脱を行うにはブースターを装着して、カタパルトあるいはマスドライバーを使用する必要があります。

大気圏離脱用ブースター

●MAの運用も可能

 サイド3と地球という長距離の巡航を前提に開発されたこともあり、重力ブロックが設置されていたり、艦載機の搭載能力が非常に高く、MSだけでなく、MAの搭載まで可能です。

 搭載数に関しては諸説ありますが、MS6機あるいはMS3機とMA2機の運用が標準的だと思われます。ただ、運用面の問題を考えなければ、10機以上のMSを積むだけのスペースはあるようです。

 この時期の他のMS運用艦と同様、カタパルトはなく、MSの発着は艦体下部のハッチから行います。

●戦艦とも渡り合える重武装

 本級は巡洋艦でありながら、マゼラン級とも渡り合うことができるほどの火力を有しています。これは大気圏突入時に地球連邦地上軍からの迎撃に備えるためです。

 本来、地球への輸送はHLVで十分なのですが、HLVは非武装であるため、大気圏突入直後に撃ち落とされてしまう危険性があるのです。そこで先に本級を突入させることで、安全性を確保するわけです。

 ただ、本級の武装は前面に集中しているため、死角が多いというムサイ級と共通する弱点があります。これは「艦艇はMSの火力支援あるいは前線基地に徹すれば良い」という公国軍らしいデザインだとも言えます。

“ザンジバル級機動巡洋艦”

●スペック

全長:255m
全幅:221.8m
全高:70.5m
全備重量:24,000t
推進機関:熱核ロケット/ジェットエンジン4基
搭載数:MS6機またはMS3機+MA2機
主な同型艦:マダガスカル、ケルゲレンほか
主な座乗者:シャア・アズナブル、マ・クベ、ランバ・ラル、キシリア・ザビほか公国軍士官

●基本武装

○2連装主砲
 上部に内装されています。艦によってメガ粒子砲であったり実体弾であったりと違いがあります。

○2連装メガ粒子砲
 前面に計4基内装されています。ランバ・ラル座乗艦はこの部分が目眩ましのための巨大投光器となっていました。

○J型ミサイル発射管
 両舷に各1発ずつ装備されています。ライフルのように大型ミサイルを回転させながら発射し、弾道を安定させます。ミノフスキー粒子散布下では命中精度に難はありますが、マゼラン級を一撃で轟沈させるほどの威力を誇ります。

○2連装機関砲
 艦首下部に3基、艦尾に2基装備されています。近接防御に使用されます。

●戦後、残党によって運用されるが・・・

 本級は主に地球攻撃軍を擁する突撃機動軍に配備されましたが、高コストのため少数の建造に留まりました。ただ、改良型の開発は進められ、MS搭載数を増加するため、カーゴベイユニットを増設した“ザンジバル改級”や武装の強化やMS用カタパルトを増設した“ザンジバルII級”が実戦投入されています。

 戦後、残党や接収した連邦軍によって改修された本級が運用されましたが、後継艦の開発は行われることなく、その姿を消していくことになります。

 その理由としては、一年戦争のような大規模な戦争が起こらなかったことや主力がMSに切り替わったことで、艦艇に求められるものが変化したということが挙げられます。つまり本級のような高性能、多機能艦よりも低コストでシンプルな艦艇が求められ、「MSの火力支援と前線基地に徹すれば良い」という公国軍の考えに行き着いたわけです。

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