初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『グワジン級大型戦艦』
●開発経緯
U.C.0070年、ジオン公国軍は地球連邦軍の軍事増強計画に対抗する形で“チベ級戦艦”を就役させました。しかし、その直後に就役した連邦軍の“マゼラン級宇宙戦艦”は主砲にメガ粒子砲、推進機関に熱核ロケットエンジンといった最新技術が採用されたのに対し、チベ級は旧来的な実体弾を使用する主砲、化学燃料とプラズマロケットを併用した推進機関が採用されていたため、その性能差は明らかでした。
そこで、公国軍は新たに旗艦となり得る宇宙戦艦の建造に取り掛かり、U.C.0076年に“グワジン級大型戦艦”が就役します。
“マゼラン級宇宙戦艦”について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
●一年戦争時、最高クラスの性能
艦体上部に主砲となる大型の2連装メガ粒子砲を3基、両舷には副砲となる2連装メガ粒子砲を各5基、ミサイルランチャーも多数装備されており、マゼラン級を上回る高い火力を有しています。
ただ、最大火力を発揮できるのは両舷のみであったり、近接防御をMSに依存しているという欠点を持ちます。
推進機関として、艦尾に熱核ロケットエンジンを8基搭載しており、大型でありながら機動性もそれなりにあったようです。
特筆すべきは、無補給で火星と木星の間にあるアステロイドベルトに到達できるほどの航続距離を有している点です。また、長期間の航行に耐えられるように居住性も高くなっています。
その反面、燃料タンクが外付けとなっているため、強力な装甲を持ちながら、大きな弱点を抱えることになります。
艦底にはMSを10機から24機搭載することができるMS格納庫が設置されています。カタパルトはなく、MSは艦底のハッチから射出されます。搭載数に幅があるのは、運用面を考えずに輸送するだけなら24機でも可能ということでしょう。
また、艦尾に翼があるのは、開発段階では大気圏突入や重力圏内での飛行も視野に入れていた名残です。技術的な問題で実装されることはなく、艦首に宇宙往還機が接続されるに留まりました。
カタログスペック上では、一年戦争時の戦闘艦では最高クラスの性能を持つと言われる本級ですが、コストが高く、汎用性も低いことから、建造数は10隻程度と非常に少ないため、ザビ家の人間やザビ家からの信頼に厚い人物のみが座乗を許されています。
●ほとんど実戦に参加せず終戦を迎える
先述したように死角が多い、近接防御はMSに依存、剥き出しの燃料タンクといった欠点から、遠距離からの火力支援がメインとなるため、旗艦としての役割を果たすことはできませんでした。
一年戦争中、ほとんど実戦に参加しておらず、戦場に姿を現すようになったのは末期になってからです。しかも、大戦末期の公国軍は劣勢を強いられていたこともあり、目立った活躍を見せることはできませんでした。
こういったことから、本級は万が一の場合にその長い航続距離を利用して、地球圏から脱出するために建造されたとする説も存在します。
●スペック
全高:67.6m
全長:294m
全幅:214.6m
全備重量:35,000t
推進機関:熱核ロケットエンジン8基
MS搭載数:10機~24機
主な同型艦:グレート・デギン、グワラン、グワリブほか
主な座乗者:デギン・ソド・ザビ、キシリア・ザビ、マ・クベ、アサクラほか公国軍士官
●基本武装
○2連装メガ粒子砲
艦体上部に装備された3基が主砲、両舷に各5基ずつ装備されたものが副砲となっています。両舷への火力は一年戦争時の戦闘艦としては最強を誇りますが、砲の配置の関係上、前後や上下方向に対する火力はそれほど高くはありません。
○ミサイルランチャー
艦体上部の燃料タンク下にあるスリットがミサイルランチャーだと思われます。装備に記載のない資料もあり、詳細は不明です。
○155mm2連装機関砲
こちらも資料によって、記載のないものもあり、詳細は不明です。本項では、装備されていない説を採用させて頂きました。
●ジオン公国の象徴として継承される
戦後、本級はザビ家の色合いが強いこともあり、ジオン共和国では運用されませんでしたが、“ネオ・ジオン”や“新生ネオ・ジオン”では後継艦が建造され、旗艦として運用され続けることになります。この特徴的な外観はジオン公国の象徴として、残党たちの士気向上に一役買ったのかもしれません。
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