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組織の硬直を打破し、新たな機会を取り込める組織を創るまで


自己紹介

はじめまして。樋口天平です。
簡単に自己紹介をすると、リクルートで18年間、リテールや大手、直販、代理店の様々な人材の営業系のキャリアを歩み、リクルートメディカルキャリ
アにて医療系人材事業の営業統括部長の後、2020年にUbieにジョインしました。Ubieでは、病院やクリニックへのサービス提供を担っています。
(以前noteに転職動機を書いたので、ご興味ある方はこちらをぜひご覧ください)

スケールを追うことで生まれた資産を価値に変え、サイロを打破する組織へ

このnoteではスケールをミッションとして背負った組織が、事業と組織が成長していく中で立ち向かってきた課題と打ち手、今後についてを書きました。

キャリアの大半を「やりきる」という文化で過ごしてきた私が、今、これまでとは全く異なる「組織改革」という不確実性の高い取り組みにチャレンジをしており、そのプロセスを皆さんにシェアしたいと思います。

具体的には高速で事業拡大していく中で生まれてくる他組織・チームとのサイロ化を防ぐために行った事、及び、既存のミッションと比較すると、一見小さく見積りがちな投資の領域に、適正な投資配分をしていくためにやろうとしていることを記載しました。

ぜひ、以下のような方に読んで頂けると幸いです
・変化に強い組織を創るために日々頭を悩ませている方
・医療業界をより良くしようと日夜問わず奔走されている業界/関係者の皆様

組織のミッションを掲げ、変革に至るまで

医療機関事業は「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」というミッションを成し遂げるために、なくてはならないピースとして始まりました。
当時のユビーAI問診はPMFを越え、業務効率化/診療サポートという価値が医療機関に認められてきたタイミングで、Ubie Customer Science(以下UCS)という組織が誕生しました。
一部の医療機関にしか提供出来ていないこの価値を最速最大で届けきる、ということを組織のミッションに掲げ、個人商店的に導入を進めてきていたサービスを均質に届くように組織化を進めていきました。
この方針は功を奏し、2年で導入してくださる医療機関が約30倍になるという成果を産むことができました。

一方で、マーケット拡大を推進する中で、我々に見えていなかった医療機関の課題や市場機会が見えてきたことも事実です。
大病院の経営層へリーチしているアセットは、単なるITソリューションベンダーではなく、デジタル化パートナーとなる可能性を秘め、その需要も見えてきました。
例えば先日沖縄県で病院経営者や医師が多数出席するユーザー会を開催したのですが、病院全体での問診センター化構想の相談をされるなど、「Ubieさんだったらこういうことできない?」という声を多数いただいたのは、医療機関の課題の大きさと我々の可能性を大きく感じることができた瞬間の一つです。
また、クリニックの院長と密に繋がるアセットは、弊社の患者さん向けプラットフォームとかけ合わせることで、患者さんとより良い治療が出会う場を共に創る機会を得ています。

上記の大規模病院やクリニックのご要望に応えていくことが、ミッションの実現に向けて重要なことでしたが、思わぬネックが存在しました。
当初の「誰よりも速く、日本中の医療現場に医療の未来を届ける」という組織のミッションが、全社のリソースの最適配置を阻害し、その結果「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」という会社のミッションの実現を遅らせてしまうという壁にぶつかったのです。

最速で届けるためには、既存のリソースを科学されたチャネルへ投下し続けることが最適である一方で、新しい価値を作り上げていくためには、ある種投資的に不確実性のある領域へリソース配置することも重要です。UCSはこのトレードオフにおいて前者へ傾倒し易い組織となっていました。

医療機関/医師の皆様と共に、患者さんと治療が出会う最高の環境を創り上げる

これらの機会への投資をせずにいることは、我々のミッション達成にとっても機会損失であるだけでなく、これまで我々を信じてくれていた医療機関や共にこの事業を作ってきた仲間たちに対しての損失と考え、大きく舵を切る決断をしました。
既存事業のスケールだけでなく、未来の事業機会の創出の両方へ最適投資できる組織となるべく、「医療機関/医師の皆様と共に、患者さんと治療が出会う最高の環境を創り上げる」組織に生まれ変わろうとしています。

その為に行った組織改革は大きく3つ
①人材タイプの多様化
②機動的な投資コントロールを可能とするための役割分担
③目標の考え方、文化風土の刷新

です。

①人材タイプの多様化
Ubieでは人材タイプを2つの役割(縦軸)×3つのフェーズ(横軸)の6つに分類しています。医療機関事業のスケールを推進してきたUCSという組織においては、当然スケールフェーズが得意な人材が集まっていたため、他タイプへのチャレンジについてもルートを作り、活躍できる組織に生まれ変わろうとしています。「自分は何が得意で、何を伸ばすことで価値を上げることができるか」に向け全員が日々チャレンジしています。

②機動的な投資コントロールを可能とするための役割分担
新しい事業機会を具現化する上では、組織を超えUbie allのアセットを活用するのがもちろん良いです。そのために全組織からメンバーを選定し、医療機関事業として新たに1つのチームを組成しました。0~10の立上げが得意な人、10~100/1000の拡大が得意な人、手前味噌ながら多様なタレントが揃っているのでそれぞれが活躍できるような役割分担を行いました。

③目標の考え方、文化風土の刷新
スケール組織として足元の目標達成は必須ですが、未来への投資もバランスよく実施していくことが必要です。全社的に運用されていた未来を志向するOKRと、6~12ヶ月レンジでのKGI/KPIの関係性を紐解き、両方へ適切に振り分けられる基盤を構築しました。この2つを併存させることで、「未来」と「現在」の両方に最適な役割配置ができるようになりました。

OKRとKGI/KPIの関係性のイメージ

今後の展望・挑戦

上記3つの組織改革を進めはじめていますが、これらを組織制度へと実装していくのが次のステップです。
アサインメントや評価制度等は、これまでのミッションを踏まえたものになっているためにそれを変更する必要があります。

例えば、KGI/KPIの評価影響がまだ強いことで3~6monthの間の頻繁なアサインメント変更が行い辛い構造などがあります。
その中で特に大事にしたいことは、相互に人材開発を行っていくというカルチャーです。機動的に不確実な未来に向かうために、アサインメントに流動性を持つことは必須である一方で、中長期的な人の成長/育成を、上長⇔メンバーという関係性に任せづらくなることを産みます。組織全体で個々の変化進化に向き合い、率直にやり取りを交わし、正しい方向へ自己・周囲の変革を促す。そんな組織文化を強化していきたいです。

ある日のメンバーとのやりとり

すでにMAU700万人の圧倒的な患者への接点を実現してきました。そして1500以上の医療機関へのサービス提供を行っています。
日々の医療機関との接点の中で、「今まで風邪だと思われていた咳喘息の患者さんが、当院を受診してくれたおかげで、適切な治療が開始できた」という声や、「このサービスを使うことで、看護師の負担が大幅に減って、より患者さんへの処置に時間がかけることができるようになった」という声、「希少疾患が我々のサービスを通じて発見され、治療が開始された」という事例など数えきれないほど頂いています。

ここまでのスケールを約2年でやってきたことで、一定の成果は得られました。しかし、患者接点の量と比べるとまだまだ医療機関へのサービス提供は不足していると認識しています。我々が今の5倍、10倍の医療機関にサービスが提供できればUbieのミッション達成がより近づきます。
そのために、今までの延長線上にない不確実な未来を描くことで、さらなる機会を得ていきたいです。未知だけれど、医療機関が不満に感じている課題をサービス化すること。それを実装して、医療機関に最速で届けること。それが出来れば、より多くの患者さんが救われ、より多くの医療従事者の一助となると信じています。

一つ一つは苦しかったり、痛みを伴ったりするものも当然ありますが、仲間を信じて全員で突き進んでいる真っ最中です。不確実だが社会を大きく変える可能性のために、我々自身も変わり・進化し続けていきたいと考えています。ご一読いただき、ありがとうございました。

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Ubieでは、事業を進化させていくための新たなメンバーをお待ちしております。
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