『ドードー鳥が見た夢は』act6

act6.兄弟の部屋

セットはact0と同じ。明かりはついている。ベッドのわきに布団が一枚。

和也「クマちゃん、今日泊まっていくの?」
クマ「うん、泊まる泊まる」
和也「しかし珍しいな。京也が友達連れてくるなんて」
京也「こいつがどうしてもって言うから、仕方なくね」
クマ「ま、そういうことなんで、よろしく」
和也「おうよ。そうだ、せっかく泊まりに来たんだし、何かして遊ぼうぜ!何がいい?トランプ?ゲーム?麻雀?」
クマ「いや、もう寝ようよ」
和也「え?泊まりに来たのにもう寝るの?」
京也「泊まるってそういうことだろう」
和也「いや、普通お泊まりって言ったら夜更かししてゲームなり麻雀なりおしゃべりなりするものじゃ…」
クマ「兄貴が寝てくれないと実験しようがない」
京也(遮るように)「ホラ、明日も朝早いし!」
和也「明日土曜日なんだけど」
京也「うるさい!いいから早く寝てしまえ!」
和也「えぇ?!何故急にキレる?!」
クマ「うるさい!いいから寝ろ!」
和也「クマちゃんまで?!友達の兄に対して容赦ないな、お前!」
京也「クマは凶暴なんだ!」
和也「初耳なんですけど!」
京也「兄貴は知らないだけなんだ。そう、アレは修学旅行の時だった。普段はおとなしいクマが、夜中に急に暴れだしたんだ」
クマ「僕自身その時の記憶はないんだけどね」
京也「いや、アレは恐ろしかった…」
和也「一体クマちゃんはどんだけ暴れたんだよ」
京也「そうだな…、町が1つ消えるくらい?」
和也「クマちゃん化物じゃねぇかよ!」
クマ「まぁ、そういうことなんで、とっとと寝ましょ」
和也「くそぅ、怖いよ…」
京也「電気消すぞ」

京也、電気を消す動作。三人、自分の寝床へ入る。

和也「なぁ、本当に町が1つ消えるの?」
クマ・京也(遮るように)「おやすみなさい」
和也「おやすみ…」

間。10秒未満くらい。

和也「…恋バナしない?」
クマ・京也「しない。」
和也「そう…。ねぇ、やっぱり麻雀でも」
クマ・京也「しない。」
和也「はい…」

間。15秒くらい。京也、起き上がり、和也の顔を覗き込む。
すると和也、バッと起き上がる。京也、驚く。

和也「ウキウキしちゃって眠れない!!」
京也「いや、自分ちなんだからお前は寝ろよ!」
クマ「兄貴うるさい、眠れねーじゃん!」
和也「だってさ~」
クマ・京也「いいから早く寝ろ!!」
和也「はい…」

長い間。和也から寝息が聞こえる。京也、クマ、ゆっくり起き上がる。

クマ(小声で)「今度こそ寝たか?」
京也(小声で)「多分…」

二人、和也に近づく。短い間。

和也「寄るな!!」

二人、驚いて離れる。一瞬の間。

和也「…お前らに用はないんだよ。ペリカンはどっか行っちまえ…」(ムニャムニャと)
クマ「ね、寝言か?」(小声で。以下、二人の会話は小声で)
京也「みたいだな。…てことは完全に眠ったってことか」
クマ「よし、じゃあ、アレを使ってみよう」

クマ、ベッドの下から『夢共有機』を2つ取り出し、片方を京也に渡す。

京也「ちょっとドキドキするな」
クマ「何だ、京也?おまえビビってんの?」(ニヤニヤしながら)
京也「ワクワクの方のドキドキだ。そっちこそビビってんじゃないのか?」
クマ「全然。楽しみで仕方ないね。何てったって人の夢を覗くなんて初めてだもの」
京也「ま、たしかにそうだな」
クマ「ようし、じゃ、早速使ってみるか。」(ポッケから紙を出す)「えっと~、説明書によると…。①まず帽子を被ります(星マークがついている方が前に来るように被ります)」

二人、帽子を被る。

クマ「②吸盤を相手の頭にくっつけます。①番の吸盤はおでこに、②番の吸盤は右耳の上に、③番の吸盤は左耳の上に、④番の吸盤は頭頂部に付けてください」

二人、その通りにする。

京也「けっこうギチギチだなぁ」
クマ「じいさまも二人同時にやる場合は想定してなかったみたいだね。えっと、③吸盤を貼り付け終わったら、帽子の前面にある星マークを押してください。あなたを夢の世界へ誘います…」
京也「この星、ボタンだったのか」
クマ「どうする京也、やめるなら今のうちだぜ?」
京也「何言ってんだよ。ただ兄貴の夢を一緒に見るだけだろ?やめる理由なんかないよ」
クマ「まぁ、そうだね。じゃ、観に行きますか」
京也「兄貴の夢の上映会へ」
クマ・京也「せーの!」

二人、星マークを押す。と同時に意識をなくす。
暗転。

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