『ドードー鳥が見た夢は』act1

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act1.沢村家の食卓

セットはリビング。テーブルには朝食が並んでいる。母は忙しそうに袖と舞台を行き来している。父はテーブルで新聞を読んでいる。ごく普通の朝の風景。
袖から京也、眠たそうに登場。母、それに気付く。

母「おはよう、京也」
京也「おう、おはよう」
父「おはよう」
京也「おう」

京也、テーブルに着く。

母「和也は?まだ寝てるの?」
京也「うん」
父「…お前、眠そうだな」(京也に)
京也「ん、分かる?」
父「目の下、クマだらけだぞ。ちゃんと寝てるのか?夜中までゲームしてるんじゃないだろうな?」
京也「違うよ。そんなんじゃなくて、兄貴がさ…」

このセリフ中に和也、登場。

和也「オレが何だって?」
京也「あ、兄貴」
母「おはよう、和也」
和也「おはよう、ママ」
父「和也、もう『ママ』はやめなさいって何度も言ってるだろ!」(呆れて)
和也「何でよ、パパ?」
父「パパって…。大学生の男がパパって…」
和也「だってパパはパパじゃん。ママはママ。何も問題なし!で?オレが何だって?」
京也「え?」
父「京也の目、クマだらけだろ?これはお前のせいらしいぞ」
和也「は?どういうこと?」
京也「兄貴さ、夜中うるさいんだよ」
和也「え?うそ、オレ、いびきかいてる?イヤだん」
京也「いびきはかいてないけど…。唸ってるんだよ」
和也「唸ってる?」
京也「そう。夜中じゅう、ずっと『うーうーうーうー』言ってて、うるさくてオレ眠れないんだよ」
母「あらぁ、京ちゃん、大変ねぇ」
和也「唸ってるんだ、オレ…」
父「和也、唸るの、やめなさい」
和也「そんなこと言われたってオレ自身は寝てるんだからどうしようもないよ」
京也「頻繁に寝言も言ってる」
和也「寝言も?!」
母「まぁ、どんなの?」
京也「最近聞いたのでは…『ジャコバイト大王が追ってくる!助けてぇ!!』とか」
和也「何だよジャコバイト大王って?!ジャコバイトって何?!」
京也「知らねーよ、オレは」
父「和也、寝言を言うのはやめなさい」
和也「だからオレ自身は寝てるからどうしようも…」
母「まぁまぁ、皆お話はそのくらいにして!早く朝ごはん食べないと遅刻しちゃうわよ?」
京也「えっ?」(時計を見て)「本当だ!ヤバい!」

父、和也、京也、急いで朝食を食べる。そして慌ただしく袖に走り去っていく。去り際で「いってきます」を言う。

母(三人を見送りながら)「行ってらっしゃーい!」

母、一息ついてから、自分の分を食べ始める。
暗転。

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