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BEVか、最後のICEか

今乗っているVWゴルフ6 GTIは、3人家族には充分な大きさで、デザインもシンプルで好み、そして走りも楽しいので満足している。しかし、11年目に入ったこともあり、いろいろなところが不調になって修理費が嵩むようになってきたので次の車を検討し始めた。

当て逃げにあったゴルフ6 GTI
当て逃げにあったゴルフ6 GTI。異物を踏んでのパンクなど、故障以外にもトラブルが続く。

車も新しいものも好きな僕としては、BEV(バッテリー電気自動車)のテスラ モデル3が気になっているが、予算的な問題、集合住宅であるが故の充電の問題、そして家族で共有することを考えると現実的な選択ではない。まぁ、試乗くらいはしてみてもいいかと思い、他の気になっている車も含めて色々と試乗してみることにした。

試乗の日々

ということで2022年4月から試乗の日々が始まった。予算や家族のことも最大限に考えつつ、僕の個人的な好みも諦めない前提で選んだ車のディーラーに通う週末が続く。

スバル BRZ (3BA-ZD8)

この親によく訓練された8歳の息子の要望により試乗。さすがにファミリーカーにはできないけど、最終的にドライバーとして一番ウキウキしたのはこのBRZだった。こういう車は子供が巣立ってからにしようと思いつつ、楽な車ではないのでその頃には難しいかもしれない。

日産 オーラ (6AA-FE13)

モーターのみで駆動するのであればBEVでなくても良いのでは?とe-POWER搭載でノートよりも質感も高めたオーラに試乗。e-POWERはエンジンを積んでいるけれど、それは発電のためにしか使わないのである。確かに静粛性が高く、静音性能にとてもこだわっているらしくエンジンの音もほとんど気にならない。そしてモーターが結構パワフル。NISMOモデルだと街乗りでビュンビュン走る。後日、旅先でノートをレンタルしてドライブしたが、僕がどちらか選ぶならオーラ。デザインは後述のアリアとテイスト似ている風だが、アリアの美しさと比べると所々気になってしまうところがある。

MAZDA 3 ファストバック X (5AA-BOEP)

国産車の中で今最も美しいデザインだと思っているMAZDA 3のファストバック。運転席に座った時に目の前に広がるインテリアも最高にカッコいい。そしてXグレードには理想的な燃焼を実現したSPCCI方式のSkyactive-Xエンジンを搭載!過去の愛車である初代アテンザのエンジンも気持ち良かったが、その完成系でかつ燃費もいいので、ICE(内燃機関。internal combustion engineの略。)として選ぶならコレ。ただ(おそらく愛車のゴルフ6 GTIとのギャップにより)ブレーキの踏み込み量に対して減速開始が遅めなのがちょっと気になった。家族からは後部座席が狭く、視界も狭いのでお出かけが楽しめないとの真っ当な意見を頂いた。

テスラ モデル3 RWD (ZAA-3L13B)

まさに自動車としてのiPhone。ジェットコースターのような圧倒的な加速感に、運転以外のほとんどの操作をディスプレイとインターネットに集約。回生ブレーキで完全なワンペダルドライブができるので、ハンドルとアクセルだけの極めてシンプルな形で運転できて楽しい。ただ、低速走行時に路面のうねりに対して車体が不自然に横揺れするのがとても気になった。試乗とは別で、この車をレンタルして長距離ドライブした結果、妻は腰を痛めてしまった。

テスラ モデル3
テスラ モデル3

ホンダ CIVIC LX (6BA-FL1)

1.5Lでこんな力強いエンジンを作ることができるホンダはすごい。ホンダはデザイン面で好みと合わないが、このシビックはかなりいい線まできていた。しかし、これまで試乗したものと比べてメーター周りのディテール、ナビゲーションシステムのUIなどはこれまで通りで、耐えられなかった。となると、この時より後に発売されるe:HEVやタイプRであっても、そこが我慢できなさそう。

日産アリア B6 (ZAA-FE0)

BEVだとテスラ一択だと思っていたところ、先日オーラを試乗したディーラーに、日産の新しいBEVであるアリアの試乗車が入ったとのニュースが入り、予算的に買えないことを前置きした上で試乗させてもらうことに。2019年の東京モーターショーに展示されたコンセプトカーがほぼそのままでてきているのに驚く。デザインもBEVとしての完成度も高くて、かつ僕の好み。心がぐらつくのを値段を見て理性で抑える。

日産アリアのモダンで美しいインテリア
日産アリアのモダンで美しいインテリア

決済者へのプレゼン

事前調査を一通り終え、次は決済者である妻とそのご子息へのプレゼンだ。悩んだ結果、BEVへの移行を見据えての日産オーラ4WDと、最後のICEとしてのMAZDA3 Xとの2択になったので、妻を連れて改めて試乗へ。

MAZDA3についての家族の意見は前述のとおりで、現実的にはベースが同じでSUVモデルのCX-30ではないかと。でも僕にとってはMAZDA3のあのデザインだから良いのであって、そこに現実はいらないのだ!なんて言えない。

そして日産へ。NISMO好きなご子息はオーラNISMOが気に入ったようだが、やはりデザイン上で所々気になるのが妻としても同意見であった。ここで「絶対無理だけどアリア見てみる?」とそそのかして試乗などをさせてみたら、まさかの奇跡。僕の心に起きた現象が、そのまま妻の心にも起きたのだ!これが決済者の心が動いた瞬間である。

オーラと併せてせっかくだからという体でアリアの見積もりももらって帰宅。妻からはアリアへの好感度の高いオーラが出ていた。

日産アリアを購入、その理由

銀座のNISSAN CROSSINGに展示されている日産アリア
銀座のNISSAN CROSSINGに展示されている日産アリア

そして僕たちは日産アリアのB6グレードを契約した。当初の予算の倍近い価格、納期は約一年後という長さ、そして自宅で充電できないといった問題を抱えながらもアリアを選択した理由について列挙してみる。

  • デザイン面での許容範囲の狭い僕と妻の二人ともが、アリアのデザインはエクステリア・インテリアともに納得できるレベルで気に入った。

  • 現在小学3年生の息子と家族で出かけられる期間は、おそらく次の車がピーク。車内でもくつろぎながら旅を楽しむためには、アリアの広さと居心地の良さは最適だった。その息子との時間に投資すると考えれば、その価格も(おそらく)頑張れる。

  • 近くに日産のディーラーはたくさんあり、そこの急速充電を使えば40分程度でほぼ満充電できる。走行距離からすると月当たり1.5回くらい通えば充分。ディーラーも気軽に入りやすいように設計されていて、待ち時間も問題ない。

  • 妻が感じるテスラに対する不安(これは僕だけであれば楽観できるもの)は、日産の国産車の品質レベルと、リーフで培った実績は、安心材料となる。困った時も頼りやすい。

そして最後に重要だったこと。それは車好きな僕が、この自動車の変革の波に乗っていないという焦りだった。

僕はiPhoneが日本に上陸した2008年に、それを欲しいと思いながら迷っていた。しかし友人からの(直接的にそう言われたわけではないのだけれど)iPhoneアプリを作ろう!というメッセージに後押しされて購入し、アプリ開発を始めたことで、今のモバイルアプリエンジニアとしてのキャリアがある。

このBEVの流れはまさにそれと同じだと感じているのに、現実を考えすぎて何も動いていないことへの焦りを、今回の車選びの初めに妻にぶつけていた。そのこともあり、妻は僕の未来への投資としてアリア購入を決断してくれたのだ。

そしてこの判断が僕の人生を変えていくことになる。


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