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観る将歴30年のつぶやき「ネット将棋の深い闇」

 これを書こうか随分迷いましたが、最近、衝撃的なことが起こったので、ようやく書く気になりました。

 何のことかって?
 それは、ソフト指しを含む、ネット将棋のダークな面のことです。


 事の次第は、この動画に詳しく述べられているので、私がここで詳細を書くことは差し控えますが、要は、このブログでも紹介したほっしー氏が、将棋ウォーズ内でソフト指しをしていたことが発覚したと言うことです。

 友人のsugarさんがこれほど断定するのですから、事実関係はまず間違いないと思われます。


 紹介したくらいですから、私はほっしー氏の動画をかなり観ています。
 初期の頃に出された研究動画は秀逸ですし、実力も相当なものであることは間違いない……。

 それでもソフト指しをしてしまうのかと、とても残念に思っている次第です。


 これから書くケースは、実際に81Dojoで起こったことです。
 嘘みたいな話ですが、ソフト指しをしている本人は、全然バレていないと思っているようです。

 アカウント停止処分を受けているのに……(笑)。


 私がその垢の人の将棋を初めて見たのは、棋譜添削をしている時でした。
 81Dojoで出会ったChouwa君(←以前動画を紹介した、「Chouwa Shougi Channel」のChouwa君です)の棋譜を、私はちょくちょく添削していて、その対戦相手がその垢の人だったのです。

 その垢の人……。
 仮にW氏としておきましょうか。

 Chouwa君とW氏の対局は、右四間飛車対三間飛車の力戦模様でした。
 仕掛けたところではChouwa君のペースになりそうな気配でしたが、W氏が中盤以降に怪力を発揮して強引にペースを握り、以降は攻め潰す展開でした。

 この時、Chouwa君が三段でW氏が五段。
 まあ、肩書的にもW氏が勝って何の不思議もなかったのですが……。

 私がChouwa君に送ったコメントは、
「まあ、これは相手が強すぎるね(笑)」
というもの。

 そう、私はW氏がこの時点でソフト指しだと思っていたんです。
「だから、勝てなくても仕方が無いよ」
と暗に言っていました。

 ただ、私の感触からするとソフト指しで間違いないのですが、それはあくまでも私の主観。
 何の確証もありませんので、Chouwa君には伝えないでおきました。

 確証はありませんでしたが、傍証はありました。
「これはソフトならではの指し手だなあ……」
と思わせる一手が指されていましたので。

 もちろん、中終盤の力を見てもソフト指しは顕著なのですが、それ以上にソフトしか指さないような手をW氏は指していたんですね。

 Chouwa君が仕掛けた時に、W氏は72玉型で十分に囲えてない状態でした。
 仕掛けられた後に小康状態が訪れ、振り飛車党の人が72玉型から玉を囲う場合に、考えられる手段は概ね三手段です。

①82玉と堂々と囲う(美濃囲いも穴熊も、両方の含みを残す意味)
②62銀と早囲いにして、場合によっては82玉~72金の金美濃を目指す
③すでに臨戦態勢と認識して62金と引き締めておく

 以上の三手段が通常考えられる玉の囲い方でしょうか。
 その他に、囲わないで72玉型のまま戦うことも考えられますが、何れにしても可能性はそんなに多くはないです。
 人間の思考的には……。

 ですが、W氏の指した手は、92香(笑)。
 これ、人間が指した手では絶対にないです。

 居飛車対振り飛車の対抗形で、居飛車が78玉型の場合には、98香はあり得ます。
 99の地点が振り飛車側の潜在的な角筋に入っているので、玉の囲いをするタイミングを計ったり香を予め逃げておいたりする意味があるからです。

 しかし、振り飛車の72玉型の場合は91の地点が居飛車の角筋に入ってはいませんので、予め92香と上がるメリットが無いんですね。
 ですから、ほとんど一手パスに等しかったりします。

 98香に敢えて意味を持たせるなら、
「このまま小康状態を保っているのなら、穴熊まで組んでしまうけどどうします? 仕掛けていらっしゃいよ」
って感じでしょうか。
 ですが、人間的な考え方からすると、82玉としておいた方が次に1手で美濃囲いにもできますし、穴熊にする場合にも隙無く組めますので、まず間違いなく72玉型で自玉に相手の角の利きが無い状態で92香とは指さないと言えます。

 私はソフト同士の対局の棋譜を多々見ていますが、振り飛車の72玉型で92香と上がるのはソフト特有の手なんです。
 ある一部のソフトは、これを好んで指すんですね。

 なので、W氏はソフト指しだと私の中で断定しました。


 Chouwa君とW氏の対局から一か月くらいが経った頃です。
 またW氏の棋譜を見たのは……。

 今度の棋譜は、81Dojoで七段のK氏との対局でした。
 81Dojo内の棋譜投稿コーナーにK氏とW氏の棋譜が投稿され、それを見たのです。

 一口に81Dojoで七段と言っても色々いまして……。
 私のようなすれすれで七段の者もいれば、K氏のように普通に対局すれば際限なくレートを伸ばせるような力量の人もいます。
 言ってみればK氏は七段の特上で、私は最下層(笑)。
 対局をしたこともありますが、とても勉強させていただきましたよ。

 風のうわさによると、K氏は現役奨励会三段だそうです。
 なので、強くて当たり前なんですが……(笑)。

 K氏対W氏の対局は、横歩取りでした。
 K氏が青野流を採用し、難しい将棋になると思われたのですが……。

 結果はW氏の圧勝。
 たしか、手数も70手そこそこだったと記憶しています。
 内容もW氏が圧倒しており、HNを隠して棋譜を見たら、誰がどう見ても後手のW氏の棋力が上と思うような感じでした。


 私はK氏とW氏の対局を並べたあと、初めてW氏のプロフィールを見ました。
 81Dojoはプロフィールを見ると、その人の成績や棋風(採用戦法の傾向をグラフで表してあります)、直近の対局の勝敗やレートの推移が見られるからです。

 すると、そこには、ビックリなことが書かれてありました。
 実際にそれを見たら、思わず笑ってしまうようなことが……。


・高校2年生であること(当時)
・女性であること
・進学校に通っていること
・大学は一橋大か東京芸大志望
・成績優秀なので担任からは東大受験を薦められている
・中学でピアノの全国大会で3位に入った
・将来はピアニストになりたい
・将棋はあくまでも趣味

 概ね、こんなことが書いてあったと思います(後に本人が書いたコメントも読んだので、もしかすると上記に後のコメントで知った内容も含まれているかもしれませんが、少なくとも全ての情報ソースは間違いなくW氏本人です)。

 この箇条書きにした内容に笑ってしまったんですよね、私は……。
 申し訳ないのですが、有り得ないのでね(笑)。


 まず、一つ目のツッコミどころは、高校2年生の女性と言うことです。

 だってそうですよね?
 里見さんや西山さんが必死に頑張っても抜けられなかったのが三段リーグです。
 女流プロのトップでプロ棋士に匹敵するような力量の持ち主でも、三段リーグの猛者に勝つのは大変だったんです。
 そこに在籍しているK氏を手玉に取ると言うことは、少なくとも三段リーグで戦えるほどの力量をW氏が備えているってことになるでしょう?
 しかも、16、7歳の高校2年生のアマチュアがですよ?(笑)

 これ、もし本当なら、伏せていても必ず個人名が分かってしまうほどの力量ってことなんです。
 何処かのリアル大会で実績が出来てしまいますから。
 なんですが、私が知る限り、該当するリアルの存在はいません。

 しかも、高校2年生ですでに世界中の女性の中で、将棋では三本の指に入ろうかという力量なのに、将棋はあくまでも趣味なんだそうです(笑)。


 進学校に通っていることに関しては、そういう人もいると思うので有り得る話だと思います。
 実際に東大出身のプロ棋士もおられますし、大学将棋の強豪校は大抵が一流大学だったりしますので、将棋の強い女子高生が進学校に在籍していることには別に違和感はありません。

 ですが……。
 W氏は東京芸大に入りたいのだそうです。
 進学校にいるのにですよ?(笑)

 ご存知ない方もおられると思いますので、説明しておきます。
 東京芸大と言うのは、日本の音楽を志す受験生にとっては、最難関の大学です。
 つまり、音楽の東大みたいなものと思ってもらって良いです。

 中でも器楽科のピアノは倍率も高く、合格者も25人程度と非常に門戸が狭いのです。
 受験者は小中学生の頃から一日5時間とも8時間ともいうようなピアノの練習を毎日欠かさずして、それでも受かるかどうかというレベルだったりします。

 ……と言うことは、日々の生活や学業以外のかなりの部分をピアノの練習に割かないと、東京芸大には受験すらもしにくいと言えます。
 W氏は中学生の全国大会で3位が誇らしい成績のように思っているようですが、優秀な人は小学生の頃からすでに中高生が出場するジュニアのコンテストに出ますので、中学生の全国大会に出るレベルでは到底太刀打ちできないんですね。

 小学生の願望ならいざ知らず、高校生にもなって東京芸大のレベルも分かってない人が、はたして本当にピアニストを目指せるのか……?
 はなはだ疑問だと思うのですが、いかがでしょうか?

 その上、将棋は高校2年生で女性の中では三本の指に入る強豪ぶり(笑)。
 W氏には悪いですが、絶対にそんな人物は存在しません。
 二刀流の大谷選手や藤井三冠よりまだ不可能な話ですのでね。
 マンガのキャラでもここまでくると呆れるしかないでしょ(笑)。


 そう思いながら、事の成り行きを見守っていました。

 すると、K氏との対局から10日ほどでW氏はアカウント停止になり、それから数か月後にアカウント停止が解けましたが、ほどなく二度目のアカウント停止を受け、今に至っています。

 最近では噂も聞かなくなりました……。


 私がW氏の話をわざわざ書いたのは、
「本人はよっぽど良い気で言動を取り繕っているつもりでも、傍から見ると痛いだけ……」
だからなんです。

 分かるんですよね、見る人が見ると。

 ほっしー氏も、最近、実況の解説と実際の指し手が食い違うことが多く、
「これはソフト指しをしているのだろうな」
と、感じていました。


 ソフト指しをしている本人は、まあ、自業自得で、垢バンなり垢停止なり食らえば良いと思います。
 ですが、その人たちを信じている人たちはとても気の毒で仕方がありません。

 信じている人に裏切られるのって、かなり辛いことですのでね。


 ……と、私がこんなところでいくら、
「ソフト指しは虚しい行為だし、人を裏切る行為だ」
と書いても、やってしまう人は多々いるのでしょう。

 非常に残念なことですが、これがネット将棋の真実だったりします。
 きっと、大方の人の想像よりもソフト指しをしている人は多いでしょうしね。


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