飯を食う場所がみつからない

友達もいないし、一緒に飯を食うような人もいない。
ぼっちである。

誰かと蒸れるのは苦手だし、ひとりのほうが気楽だし自由だ。
だから、ひとりが苦痛だと思うことはあまりない。

人混みが苦手なのだ。周囲に人がいる状況が苦痛だ。

別に食べたいものなんてない、空腹を満たせればなんだっていい。
どこか飯屋に入ろうか毎週のように悩むも、土曜日のお昼時、しかも三連休ともなると騒がしい、人が多い。

それに食べたいもなんてないし、ひとりぼっちで食うには割高に感じる。
どこもかしこも家族連れ、友達同士と思われる集団、カップルが並んでいる…
ここにむさ苦しい、ぼっちのおっさんが居るのは場違いだろう。事案になりかねない。

昨日なんとなく買った文庫を読みながらコーヒーでも飲もうかと妄想した計画は頓挫する。

さて、どこで飯を食うか…
いつものようにマックのモバイルオーダーアプリを立ち上げる。
いまは月見バーガーのシーズンだ。とはいえ昨日、本を買ったばかりだし、先週、月見バーガーを食べている。
お手頃な500円シリーズ、チキチーを注文する。

店内は騒がしい
だからモバイルオーダーでテイクアウトにして人気のない岸辺に移動して食べるのが毎週の恒例となっている。
夏はバカみたいに暑いし、冬はアホみたいな寒い。
だが精神的には幾分か気楽なのだ…

ちょっとお天気が怪しかったが雨は降ってないし、なんとかなるだろうと
マックの袋を持って岸辺を目指していた。

ポツポツと雨が降ってきた

さてどうしたものか、飯を食う場所がない。
選択を誤ったのだ。

コンビニのパンぐらいならそこらへんで立ち食いはできるだろうけど、
ハンバーガーとポテトは無理だ。

屋根があって人気がない場所が見つからない。
屋根があるところは、だいたい店の中だったり、飯を食って良いような場所ではないのだ。

外の通路にも屋根はあるものの、人がひっきりなしに行き交っている。
休憩用の椅子なんかも通路沿いに設置されている。
そうは言っても、そんなところでひとりでハンバーガーを食べたくない。

結局、通路の奥まで進み、行き止まりに辿り着いた…
ここなら人もこないだろうけど、どう考えても飯を食って良いような場所ではない。
だが自由に飯を食える場所がどこにもないし、歩き疲れていた。

『この場所でたばこを吸わないでください』と注意書きがしてある。

飯を食うな…とは書かれていない。
致し方ない、この場所でさっさと食ってしまおう…
地面に座り込み、ウェットティッシュで手を拭いてポテトをひたすら食べて
ハンバーガーを放り込み、アイスコーヒーを飲み干した…

なんとか誰にも見つからずに済んだ。
味わう余裕なんてなかった…


この世の中、ひとりで気楽に飯を食える場所がない…
地方だからなのか、ぼっちに厳しい…

人混み苦手なぼっちは、どこで飯を食えば良いのか…

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