劇場版「はいフリ」の考察[ネタバレなし]

ネットの感想が出る前に、いの一番に映画を観に行くの最近の私の日課になっている。ネットにはあまりにも多くの情報が行き交っていて、友人たちとの小さなコミュニティのTwitterを見ただけでも、誰かのReTweetに重大なネタバレが流れてきてしまうことが、よくあるからだ。


ネットの映画口コミサイトの感想を見ると、結構評価は低いように思う。その理由について、思うことを少し徒然と書いてみる。

まず、この物語の特性を十分理解することが重要だ。船自体を楽しむ人もいるかと思うが、本質的には、「群像劇」に分類されると思う。晴風のメンバー約30人による「巨大な群像劇」である。もちろん、主人公たちの心境の変化(よくインタビューなどで使われる言葉を用いると「成長」)を軸に考えたがるが、群像劇的な要素の方が強いと考える。

また、劇場版は、明らかにアニメ本編とOVAを視聴した人向けに作られている。というよりも、「巨大な群像劇」という特性があるので、一人ひとりに焦点を当てた物語構成自体が、不可能なので、映画の約2時間という枠においては、すでに個々人のキャラクターは理解している上で物語を鑑賞することを暗黙的に要求されているのである。ファンディスク的な印象が強いが、だからといって、ご新規さんお断りということを公式には行いづらい。そういったことに、腹を立てているレビューも多数見かけた。

あとは、「巨大な群像劇」の実験的な作品であるという点は理解した方が良いともう。もともと、「群像劇」というジャンルでは、多くても10視点くらいだと思う。これを30視点という数まで膨張させていて、それをアニメシリーズでなんとか纏めきったというのが、私の印象である。このような実験的にある程度成功をみた作品なので、続編を映画でやるということは、時間的な観点からどのような作品に出来上がるかはある程度察することができたはずなのである。

もちろん、連続した作品ものや、スマホゲームなどがいかに新規参入の障壁を低くして、利益をあげようとしているかという最近の悩ましい問題もある。だが、今回のような映画で、初心者に優しい作品を書くこと自体かなり無謀だとも思う。

映画を見る上での助けになればと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?