死者3800人、3万棟が全壊…じつは知らない昔起きた地震と豪雨「複合災害」の深刻実態(現代ビジネス)

2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。
しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。  もはや誰もが大地震から逃れられない時代、10刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。

75年前の複合災害

自然災害大国のこの国では、単体の災害でも大きな被害をもたらす。  だが、『首都防衛』で強調されるように、災害の連動や複合によって、経験したことのないレベルの被害が発生する可能性がある。  〈地震と豪雨の複合災害として知られるのは、1948年6月28日にM7.1を記録した福井地震だ。  内閣府の「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1948福井地震」によると、震源付近では住家の全壊率が100%に達した集落が現れ、死者約3800人、全壊は約3万4000棟に上った。  堤防は地震で天端が最大で4~5メートル沈下し、法面崩落が相次いで発生。約1ヵ月後の7月25日に襲った豪雨に耐えきれず決壊、濁流は福井市に流れ込んだ。
 浸水深は2.4メートルに達し、約7000棟の家屋が浸水。浸水面積は約1900ヘクタールに及んでいる。〉(『首都防衛』より)  福井地震を単なる75年前の出来事として片付けられるだろうか。

マニュアル通りにはいかない

これまた北陸エリアだが、今年、石川県で地震の後に雨が降った。  〈2023年5月5日に震度6強の強い揺れに襲われた石川県能登地方では、地震発生から一夜明けて降雨がみられたが、気象台と自治体の連携プレーで乗り越えた。  揺れの大きかった地域では大雨災害が普段よりも起こりやすくなっているため、気象庁は大雨警報や注意報の発表基準を通常の7~8割に下げて運用。  気象台から天気の見通しを聞いていた同県珠洲市は避難所を開設し、土砂災害警戒区域の住民に避難指示を出した。〉(『首都防衛』より)  豪雨や土砂災害などの警戒情報は精度を増すようになっている。  が、「地震の後」に豪雨が発生した場合はマニュアル通りにはいかない。  首都直下地震や南海トラフ巨大地震の襲来時に備え、最悪のケースを想定しておくことが重要だ。  つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。

現代新書編集部

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