無人航空機操縦士の資格を講習で取る手順
登場人物
航空局:国土交通省でドローンを管轄する部門
DIPS2.0:ドローンの申請、飛行通報、事故報告を行うポータルサイト
日本海事協会:国の指定する試験事務組織。試験修了認定事務や技能試験の開催団体。普段は船舶の検査とかやってる。
登録講習機関:国の指定する講習機関。教習所、スクール。
プロメトリック:学科試験を代行するCBT(パソコンによる試験)サービス業者
2010年頃マルチコプターが考案されまして、その後様々な事故や事案が起こりました。これらを踏まえて、2023年から無人航空機操縦士資格が施行されました。日本国内でちょっとクリティカルな飛ばし方をする操縦士の技量認定制度です。
どこが管轄するか綱引きがあったそうですが、欧米に倣って航空局担当になったと聞いています。航空局が作り上げたからか、免許制度も飛行機やヘリコプターの操縦士制度を大幅に簡略化したものの、作業用自動車に比べて面倒で高額な制度になりました。
この記事では、ドローン講習団体で無人航空機操縦士資格取得する手順を列挙します。ちなみに、無人航空機操縦士は免許制ではなく知識と技能を証明する「資格」扱いです。このため、無人航空機操縦資格を未取得でも、飛行許可・承認申請を行うことができ、ドローンを無資格で飛ばすことができます。
現時点は、ドローン管理制度確立まので過渡期にあたります。移行期間の終了見込みは2027年頃になると思っています。ですから、取得時期の目安としては、飛行許可・承認制度の改正が予想される2027年あたりをおすすめします。
DIPS2.0で技能証明番号を取得
国土交通省航空局のサイトから、ホーム>政策・仕事>航空>航空安全>無人航空機操縦者技能証明等をたどります。アカウントを作って、ログインして「技能証明申請者番号の発行」を受けます。この番号で、試験を受けていきます。
一等と二等どっちを受けるべきか決める
一等が上級で二等が下位の資格です。一等の方が学科試験が高度で技能教習料金が高額になります。
目視外で市街地の業務飛行なら一等しかないです。目視範囲内で飛ばすなら二等でもいける気がします。とりあえず肩書が欲しい人は二等でいいでしょう。
受験スケジュール
学科技能各試験の有効期限は合格の日から2年です。身体検査の有効期限は医師の診断書は2年で、運転免許証による書類審査は運転免許の有効期限か書類審査合格の日から2年のいずれか短い方です。運転免許の残期間が3年以下でも、無人航空機操縦士証の有効期限は発行から3年付きます。
技能試験前の操縦練習は、天候不良の季節を外す必要があります。技能講習は屋内で行われますが、風が強いときや酷暑厳寒だと難易度が増します。風が強いときは気圧の変動が激しくて、ドローンの高度制御誤差が増えるから。受験地の地域性と講習開催予定を見比べて、日程を検討してください。
学科試験に申し込む準備
無人航空機操縦士になるには、学科試験、技能試験、身体検査にすべて合格しなければなりません。技能試験では、学科試験で問われる知識が必須なので、まず学科試験に合格してください。試験監督機関の日本海事協会で受験者アカウントを作成します。DIPSのアカウントとは後で紐づけますから、日本海事協会サイトとは、学科、技能、身体について合格承認を取るまでお付き合いすることになります。
学科試験受験
学科試験を受けるのは、日本海事協会ではなくプロメトリック社の試験施設です。日本全国に会場があるっぽいし、土日受験の開催もあります。時間も割と選べます。試験は、無人航空機の飛行の安全に関する教則から出題されます。この教則を丸暗記すれば絶対合格します。ぼちぼち解説本や解説動画がでています。
技能講習機関を選ぶ
技能試験は、実地試験と登録講習機関講習の2ルートがあります。実地試験は、自動車の運転免許試験場で警察官が検定員になる技能試験に相当します。開催日が少なく、開催場所は交通の便が悪い施設がおおいです。冷暖房が無く、待ち時間がとても長いという噂です。このページでは登録講習機関を利用する人が対象なので、実地試験については以上です。
登録講習機関を使うメリットは、試験コースで事前練習ができることです。一発検定の技能試験は事前練習ができません。ちなみに未登録講習機関のドローンスクールに通ったら、実地試験を受けに行くことになります。
登録講習機関を探すには、無人航空機操縦士+国家資格+教習で検索するいいでしょう。講習機関リストに講習団体名と所在地がまとめられています。講習団体名で検索すれば、ホームページがみつかるはず。リストに載っていても、未開講な団体もあるようです。価格設定や開催日もまちまちなので、旅費込みで検討しましょう。
国家試験対応コースは、以下のような試験コースを3課題クリアする必要があります。講習機関の教習には、事前練習の時間は含まれていません。ドローンを触ったことが無い方は、追加で初心者向け習熟教習を受けるのがいいでしょう。
登録講習機関に受講申込
ドローン操縦経験の有無、民間操縦資格の所持、限定解除(夜間飛行(日没~朝まで)、FPV飛行、大型ドローン)の要否を講習機関と相談して申し込みます。
本人書類提出
国家試験相当なので、書類をたくさん用意します。
住民票の写し(本籍地入り、6か月以内)
証明写真
身体検査証明書の写し(自動車運転免許、航空身体検査診断書など)
無人航空機経歴書(講習機関がフォームをくれるはず。操縦したことがある機体名と累積飛行時間を記入します。)
飛行日誌の写し(受験者はこれまでにドローンの操縦経験があり、航空法では飛行日誌の作成携帯が義務付けられているので、全員持っている建前)
公的機関の身分証明書(顔写真と公印があるもの)
その他講習機関が指示する書類
DIPSに講習機関番号を登録
講習機関から登録講習機関事務所コードを聞きます。航空局DIPSサイトにログインして、技能証明申請者番号の登録情報確認ページを探し、受講する登録講習機関の情報欄にこの登録講習機関事務所コードを登録します。
登録講習機関講習受講
経験者に課せられる講習時間は、操縦実習3H、学科5H、実地3H、終了審査の順です。この時間内で技能試験の課題をこなせない予感がすると、指導員が補講を進めてくると思います。講習機関の技能試験再試験は3万円くらい追加請求になるので、補講は受けた方が安上がりです。講習機関によっては1日9時間で終わりますが、普段ドローンを飛ばさない人はこのタイミングで試験コース自主練追加をお勧めします。講習最終日に修了技能審査があります。合格基準や試験内容は、国家試験と同等です。合否はその場で通知されるはずです。合格後に、講習修了証明書番号が通知されます。これで登録講習機関講習は終了です。
身体検査受験
ここまでで、学科と技能の合格が取れていることと思います。身体検査は医師の診断か、自動車運転免許保持をもって医師の診断に替える書面診断かを選べます。二等の受験なら、自動車運転免許による身体検査が早くて安いはずです。
講習修了証明書による実地試験免除申込
まだまだ手続きは続きます。
海事協会の無人航空機操縦士試験申込システムにログインして、講習修了証明書による実地試験免除を受けます。海事協会の試験申込システムにログインして、申込管理/試験を探す/【実地試験】回転翼講習修了証明書の提出(免除申込)<1回目>に移動します。
登録講習機関が発行した講習修了証明書をアップロードします。
審査がおわるのを待ちましょう。
試験合格証明書発行申込
海事協会から実地試験免除の承認通知を待ちます。
海事協会の試験申込システムにログインして、申込管理/試験を探す/試験合格証明書発行申込に移動します。
初回発行なら、アップロードするものはありません。マルチ、基本、二等を選んで申込です。これも7営業日処理なので審査が終わるのを待ちましょう。
試験合格証明書の受領
海事協会から試験合格証明書の結果通知を待ちます。
また試験申込システムにログインして、試験合格証明書を受領します。
これで、海事協会とはお別れです。
技能証明書の新規交付申請
DIPS2.0にログインして、技能証明書の新規交付を探します。
「申請者に関する情報」の個人情報を確認して次へ行きます。
なにかよくわからない仕組みで、海事協会からDIPS2.0に技能証明合格証明番号が転記されているはず。証明書番号を選択して、海事協会の試験合格証明書と登録講習機関が発行した講習修了証明書をアップロードします。
交付手数料の支払い
しばらくすると、【ドローン情報基盤システム】手数料の納付についてのメールが来るので、支払いを済ませます。発行手数料は3000円(2023年秋)です。
これが終わるとプラスチックカードの免許証(名称は技能証明書、無人航空機操縦士は免許ではないそうです)が届きます。10開庁日かかるらしいです。私は2か月かかりましたけど。
お疲れさまでした。
他に必要な免許
ドローンレースなどでFPVを使うなら、4級アマチュア無線技士を取得してアマチュア無線局の免状を取る必要があります。
業務でFPVを使うなら、三級陸上特殊無線技士を取得して特定小電力無線局の免状を取ります。169MHz帯プロポを使う時もこれです。
2.4GHz帯やLoRaを使うプロポ、リモートIDは無線の免許は不要です。
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