見出し画像

社会人1年目が休職に至るまで


ある日の記録。

お昼頃に目が覚める。
部屋の電気も付けないまましばらくスマホを眺める。
空腹が限界を迎える。
家にあるもので何とかする気力も身支度をする気力も無いのでデリバリーアプリを開く。
食べたいものが分からなくてしばらく悩む。
とりあえず頼む。
食べると少し気持ち悪くなる。
食事を済ませた後そのまましばらくスマホ。
昨日お風呂に入らないまま寝てしまったから入らないといけない。
でも入れない。
何もできない。身体が重い。
明日の仕事、そしてこれからの仕事のことを考える。
気持ち悪くなる、胸のあたりが痛む、酷いめまいがする。
明日こそは休みたい、でも休んだら自社の上司からも連絡が来るかもしれない、人事に休職の話がしたいけど上司に伝わった後を考えると怖い、でも休みたい、辛い、苦しい。
そのままずっと考えていると夜になった。
お手洗いに行ったらすごく疲れた。
ふらついてまともに歩けない。
部屋に戻ったときゴミ捨てもちゃんとできていないのを見て嫌になった。
スマホの充電が切れたのでベッドの方に移動して充電器を挿す。
座っているのがしんどい。
一旦寝っ転がる。
いいかげんお風呂に入ろうとするが何故かどうしても無理で、なんとか歯磨きだけしてベッドに入る。
SNSを眺める。仕事が頭から離れない。
身近な人にしていた仕事の話に対する返信が来て、涙が止まらなくなった。
しばらく声をあげて泣く。
泣き疲れて天井を見つめる。
就寝前の薬を飲み忘れていたことに気付く。
再びスマホを眺める。
2時頃、薬を飲むためにソファーの方へ移動。
少し動く度に止まって考え事。
やっと薬を飲んでお手洗いへ。
ベッドに戻りスマホを眺める。
明日のことを考えて怖くなる。
就寝。



今、私は休職している。

上は休職する直前の休日の様子だ。
側から見たらほとんど動かずにだらけている人だが、頭の中は強い不安に覆われて全く休まっていなかった。

仕事が嫌なのはみんな同じ、辛くても頑張ってる人がたくさんいる、これが普通なんだ、この環境で駄目になるなんて弱すぎる、休むなんて甘えだ。
ずっとそう考えていた。

いつまでも仕事ができない、そして社会人になっても頑張れない自分が許せなかった。

配属先はリモート勤務だった。最初のうちは、たまには外に出た方が良いだろうと、お昼休みだけでも近くのコンビニまで行ったりしていた。
徒歩3分くらいだからそんなに歩いてもいないが、ほんのちょっとだけ気分転換にはなっていた。
気付けばそれもできなくなった。

だんだんと、数少ない好きなことすら楽しめなくなっていった。

YouTubeで動画を見ても楽しくないどころか内容がほとんど頭に入ってこない、ましてやアニメなんて見ようとも思えない、好きなバンドの曲も聴きたくない。

気を紛らわそうと動画を流し続けるが、頭の中は常に仕事のことでいっぱいだった。

なんだかずっと、自分が自分ではないような感覚だった。


幸いにも身近には「もう休んで良いんだよ」と言ってくれる人が何人もいた。 今しっかり休めているのはその人たちのおかげだ。
でも、しばらくは休めずにそのまま毎日仕事をしていた。

そのうち体調の悪い日が増えて、食欲も減った。


ずっしりと重たい、耐え難い感覚から逃れたい一心で、心療内科への相談を考え始めた。
病院探しから予約まで迷ってばかりで何日もかかってしまったが、覚悟を決めて予約確定ボタンを押した。

仕事のストレスに加えて体の症状があることを話すと、診断書を書くからまずは仕事を休みましょうと言われた。

病院に行ったら一瞬で休職の準備が整ってしまい、逆に「休むなんて…」という思考が加速した。
診断書には抑うつ状態と書かれていた。あまり詳しい説明は受けなかったので、病気ってわけじゃないんだろうな、やっぱりただの甘えなんだろうか、などと考えていた。

後に別の病院で聞いた話によると、1度の診察で病名を判断するのは難しく、ひとまず会社宛にはこのように書くことがあるらしい。そうすれば会社から深く詮索されたりもしないだろうと。

抑うつ状態と聞いて"まだ病気ではない段階"と受け取ってしまっていたが、"何らかの病気の症状だと考えられるがどれかはまだ特定できていない、もしくは特定を避ける"意味でこういった表現をしているようだ。
ついでに、このことを教えてくれた病院で病名も伝えられた。

最初の病院で診断書をもらった1週間後、担当の医師に休職に踏み切れなかったことを話すと「え〜っ!なんで〜!休みたくない感じ?」と聞かれた。
単純に本心を聞きたかったのだろうが、そのときの私には「ああこの人は分かってくれないんだ」としか思えず、ここに通うのはやめた。

その2日後、ようやく仕事を休んで人事に休職の話もした。

直前まで迷ったが、体調も悪かったので「休んでも良い」と自分に言い聞かせて上司に欠勤連絡をした。
するとほかの上司や先輩からもメッセージが来て、本当に休んで良いのだろうかという気持ちがまた出てきた。


ここでさらに休職なんてしてしまったら今までお世話になった同僚を裏切ることになるんじゃないか。
そんな考えをどうにかこうにか振り切り、ついに人事に休職したいと伝えることができた。

すぐに担当営業と現場のリーダーに話が行き、営業さんとは電話で話した。
ストレスの要因を聞かれたとき、涙が止まらなくなり全く話せなくなってしまった。
その状態では辛いと思うのでとにかく明日から休職しましょう、と言ってもらい現場は退場となった。


配属されて間もない状況での休職。
正否はさておき、このときの自分にとってはやっぱり必要な決断だったのだと思う。


仕事を休み始めてから体の不調が薄れるまで、そう時間はかからなかった。吐き気がだいぶ引いて動悸もほとんど起きなくなり、あんなに酷かっためまいがマシになった。

最近は毎日お風呂に入れているし、ゴミ捨てや掃除・洗濯なども徐々にできるようになってきている。

まだまだ気持ちが不安定で、暗い感情に押し潰されて動けなくなる日も多いが、長時間泣き続けたりすることは無くなった。
顔つきが穏やかになり、外をまともに歩けるようにもなった。


「もう嫌だ」「ごめんなさい」「助けて」と何度も何度も言いながらうずくまって泣いていた自分を、これで救い出せたのだろうか。
また同じ状態になったらと思うと怖い。

私は、ちゃんと大丈夫なのだろうか。


このまま悪い方に引っ張られてしまいそうなので、一旦考えるのはやめにする。

今はとにかく休もう。




適応障害になって休職した社会人1年目の話。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?