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学生の頃

東京デザイナー学院名古屋校という専門学校に通っていた。
これは現存するその頃の唯一の課題作品だ。
思えばこのイラスト、というかマークが私のイラストを書く上での基準になっている記念すべき作品でもある。

1年生の夏休みの目玉課題は動物のスケッチ100枚。クロッキー帳片手に動物園に2日間。描いて描いて描きまくるという課題だった。そしてそれは2学期の授業に使う資料となった。動物のマークを描くという授業。そのときの先生の言葉は今でも忘れない。

マークをつくるという時、想像で描くな。想像だけで描いたものは説得力を持たないし、バリエーションが効かない。実物を見て正確な形を描き出しそこから引いていくんだ。よりシンプルに。特徴を残しつつ。

それは私の深いところに刻印された。私はプロになってから尚更それを基準とした。参考にする写真はかなり多い。どうかしたら骨格までも頭に入れ、筋肉のつき方を理解し、脳内でそれをくるくると回したり座らせたり歩かせたりできるようになってからやっと描き出す。3Dで理解しないと2Dには落とせないのだ。これは漫画家なども行う手法。

リアルなものから引いていく手法というのは、バリエーションが描ける。媒体に合わせてデフォルメしたり、幼児化させたり、あるいはリアルなまま無駄のない簡潔な線で描き出したりという具合だ。
これはマークだけでなく、例えばパン工場の生産ラインを描く時、クライアントやデザイナーが何を表現したいのかというとき、その全体像をまず把握してそこからちょうどいいデフォルメや簡素化を導き出すというというふうに使っていた。このまず全体像を把握するというのはもはや癖になり、人間関係だの、なにかの行事だの、とにかく全てにおいて私はそこから入らないと落ち着かない人間になった。

このしちめんどくさい私のこだわりは、しかしながら仕事において、あるいはそのほかのことにおいて、けっこう功を奏したのだった。

なおかつ私は地頭がいい。一度測定したIQは(ちょっと怪しいが)127あった。東大生レベルだそうだ。興味さえ持てば集中力を発揮して1・・・は無理だとしても3くらい聞けば10を理解できる。もちろん誤差の修正もする。ただ、興味があれば、の話だ。興味がないと途端に薄れるIQなので、高校は赤点の常習者だった。

ちょっと話が逸れたが、そんなわけで「理解力がある」「ちょうどいいところに落とし込む」ということができたため、多岐にわたるイラストタッチの依頼も、苦もなくできたのだった。




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