ぱんよりぱんだ
子供が小さい頃、コンビニへ連れて行くとパンダが食べたいと言い出したので「はいはいコアラね」とコアラの形のお菓子を差し出すと首を振った。何か新製品でもあるのかと、パンダ柄のパッケージを探してみたがない。
子供は「パンダ」としか言わない。また今度ね、と言おうとするとかわいい顔で睨みつけてくる。まぁいい、時間はある。
そこそこ時間を掛けて探し出した答えは、おにぎりだった。俵型のおにぎりにのりを巻いて二個パックで売っていた。
コンビニのおにぎりは、普通のりで包んでしまうので白黒というイメージが無かったが、確かにおにぎりは白いご飯にのりを巻くのでパンダだといえばそう見える。遊びに来ていたおばあちゃんが関係しているのだろう、それから子供におにぎりのことをパンダといって度々せがまれるようになった。
家でもパンダを作るようになったが、これがなかなか面倒だった。素手で握ると熱い。 しかし、よくしたものでパンダを作る容器が幾つも存在した。ご飯を入れて、蓋で少し押し固めたあと取り出して、のりを巻けば出来上がりである。熱くない。子供はよろこぶ。私は助かる。そして美味しい。言うことなしである。
我が家では、暫くこのパンダがブームになった。ふりかけをまぶしたものまでパンダと呼ぶのは無理があったが、まぁ気にすることはなかった。
その頃、仕事場で忙しいときにお昼どうしますか?と訊かれつい「適当にパンダでも買ってきて」と頼んだら、菓子パンが三つほど届いた。黙って食べた。ちょっと耳が赤くなったが、気づかれることはなかった。
そんなこんなで、わが子は順調にお米大好き日本人として成長を続けている。
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