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1年越しの、伏線/水晶体に映る記憶

1年前、大学を卒業して初めての春だった。ちょうどこの時期、私は仙台から広島の飛行機に乗っていた。

飛行機を出て、ほんのり温かい空気を感じたとき、「やっとこっちにこれた」と思った。そしてその旅は、今起きている出来事の伏線をばら撒くようなものになる。


卒業してからの私は、医療施設の空間デザイン(心地よい家具を選定したり、環境のコンセプトを作る仕事)をしたいという願いを持っていたが、

未だにグラフィックデザインすらままならない自分や、飢えるのが怖くて色んな仕事をしている自分に、何やってんだよ!!!と責め立てる心の声が大きかった。

医療空間デザインをするには、どうしたらいいのかまったく先が見えない。先駆者も少ない。ましてや医療資格のみのペーペーがでしゃばれる領域なのだろうか、と、まとまらない言い訳と不安を胸に、本当にこの道で合っていたのか、という言葉が喉元まで出てくる。

そんな私に舞い込んできた朗報。広島に、「言葉を処方する福祉施設」があると耳に入り、胸が高鳴った。なんと友人が代表を繋いでくれて、あっという間に広島へ向かう日が来たのだ。


はるばる山形からきた大学生、という見え方だったのか、代表は管理している福祉施設を全て案内してくれた。絶対多忙だろうに、3時間も時間を割いてくれた。

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