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第4項 リスクを恐れず実行し、失敗したらまた立ち向かう(教師になるためのノート第1章 成長する力)

前回に引き続いて、柳井 正さんの「経営者になるためのノート」を読んで、これは教師や学校にも応用できるのではないかなと思って、経営者になるためのノートをもとに「教師になるためのノート」を書いてみました。最近、教師になる人が減っている中、さらにこんなことを言ったら、もっと減るかもしれませんが、教師はそもそもこういった志が必要なんじゃないかと最近思います。
こんな若造が何言うてんねんと思うかもしれませんが、今後の自分のためにもここに記しておこうと思います。


安定志向で安定成長している教師、学校はない

高い目標を目指し、高い基準を追求していくと、今までやったことがない新しいことに挑戦をすることになると思います。
新しいことをやろうとすると、人は不安になります。
「本当にうまくいくのだろうか」
「失敗したらどうなるのだろう」
そして不安が心のなかで勝利をすると、
「学校、自分を危険にさらしたくない」
という志向性が、学校経営、学級経営や意思決定のあり方を支配していくようになります。
これが「安定志向」による経営です。
言葉はきれいですが、この志向性は、経営をよくはしません。
特に日本人は、「ほどほどがよい」とか「中庸がよい」という思想の美学を持っているため、その美学に適合した、この「安定」という言葉に弱いです」
この言葉を聞くと、「そうだよな。何事も安定していることが一番だよな」と思ってしまいます。
しかし、「最初から安定志向で、安定成長している教師、学校はない」です。なぜそうなるのでしょうか。理由は単純明快です。
地域、保護者、生徒は厳しいからです。代わり映えしない授業や、学校に対して信頼をしなくなるからです。
社会もすごいスピードで変化をして、人々が求めるものもすごいスピードで変わっていきます。
現実を直視するならば、教師、学校はこれらの変化に負けずに、いや、むしろ、変化を機会にするくらいの気持ちで経営をやっていかない限り、地域、生徒、保護者からの信頼を失う可能性があります。
経営を知らない人は、思い切った挑戦をする学校に対してよく「現実を直視していない」と揶揄しますが、このように考えると、安定志向のほうがよほど「現実を直視していない」と言えるのです。
「学校を危険に晒したくない」という志向性、この志向性のほうが「学校を危険に晒す可能性が高い」ということです。

リスクのあるところにチャンスがある

リスクがあるところは、多くの人が恐れて、あるいは大変だと思って、あるいは最初から無理だと諦めて、あるいは常識に縛られていて、手をつけていないからです。
だいたいが、世の中に「自分だけが考えている」ということはないと思ったほうがいいでしょう。他にも同じようなことを考えている人はいるはずです。問題は、考えていることをきちんと実行に移せる人が少ないということです。それくらい多くの人がリスクを避けようとするのです。

リスクは、りっかり計算すること

さて、「リスクを恐れず」と言っていますが、時々誤解する人がいるので、あえて伝えますが、これは「リスクを計算しないで」と同義ではありません。
リスクなんか考えないで無謀をしなさいと言っているわけではありません。リスクは考えて、計算してください。
リスクを計算するというのは「これをやる場合のリスクというのは、本当はどこにあるのか」ということと、「そのリスクがどれくらい大きいのか」ということを、冷静かつ真剣に考えるということです。
「リスクを計算した結果、実行をやめた」と言っている人の中にはよく、冷静かつ真剣に考えたというよりはただ単に不安や怖れが先に来て、できない理由がたくさん頭に浮かび、それを正当化する論理を構築することを称して「リスクを計算した」といっている人がいます。
これは計算ではなくて、むしろ思考停止です。

私の学校では、コロナ禍で、タブレット端末を用いて様々な行事であったり業務を刷新させました。これまでと違う形になるので、教員や生徒が戸惑うリスクがありましたが、せっかくタブレット端末があるのに、やらないことで宝の持ち腐れになるリスクのほうが高いと判断したからです。結果的に、これは正解でした。最初はわからないことや失敗することが多く、戸惑いましたが、今では全教職員や生徒がスムーズにタブレット端末を使えています。

リスクを取った限りは、中途半端にせず、結果が出るまでやりきること


もちろん、この場合、最も犯しては行けない誤りは、「新しいことをやるリスクを取って、目の前の利益を捨てておきながら、やると決めた新しいことを中途半端に勧めて、結局その新しいことを実現できなかった」ということです。
ですから、リスクを取ってやると決めた限りは、そのやると決めたことを脇目も振らず、ただもう一直線に、徹底的に、結果が出るまでやりきるということ。つまり、やると決めたことの徹底実行です。これが経営では非常に大事だということです。

結果が出るまでは、何回か失敗することもあります。新しいことをやるというのは、体験のないことをやるのですから、最初からうまく行かないほうが当たり前と思ったほうがいいくらいです。
経営者にとって大切なのはそこで諦めないということです。一回や二回失敗したくらいで、めげないようにすることです。
「やっぱり難しかった」
「やらなければよかった」
そんな弱音や後悔が頭をよぎるかもしれませんが、失敗の原因を徹底的に検証して、次にどうしたらいいかを考えて、また実行する。
諦めた瞬間、実行を中途半端にした瞬間、元も子もなくまります。
失敗をすると、責任をとって途中で辞めると言いだしたり、謝る人がいますが、失敗の責任を取るというのは、そういうことではありません。本当に失敗の責任をとるというのは、「最後まで試行錯誤を尽くす」そいうこと。そして、「これは本当に失敗だというときは、その原因を徹底的に探求し、学びを得る」ということ。そして、
「それを次に活かして、結果をだすこと」
これが失敗の責任を取るということです。
こうしたことができるのであれば、何回でも失敗していいと思います。なぜならその分、必ず成長しているからです。


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