人類の起源、自己家畜化説とは
Humankind 希望の歴史を読んでいます。
上巻の内容は、大雑把に言えば「ほとんどの人間は善良である」ことを様々な例を通して説明しています。人間に対する悲観的な見方を形成する原因となった思想や研究に反論したり、人間が生来親切で争いを好まないことを説明します。
その中でも最も印象に残ったのは、人間の起源に関する話です。いわく「人間はフレンドリーな個体が生き残るというルールに従って進化してきた」ということ。どういうことなのか、整理してみます。
進化論のおさらい
ざっくりと次のようなものだと理解しています。
生物は共通の起源をもち、様々な種が枝分かれするように変化してきた
同じ生物が異なる特徴を持つとき、生存に有利な特徴を持ったものが生き残ってきた
キツネをイヌに変える実験
当時のソ連の研究者だったドミトリー・ベリャーエフと、助手のリュドミラ・トルートは「どうやったら獰猛な動物をフレンドリーなペットに変えられるのか」「家畜化した動物に共通の特徴が見られるのは何故か?」を明らかにするために、キツネを題材に実験を行いました。
実験に使ったギンギツネは獰猛で人になつかない動物でした。しかし、攻撃性が低い個体を選んで交配を繰り返した結果、四世代目では(犬のように)尻尾を振るようになったと言います。そして、耳が垂れる、尻尾が丸まるなどの、家畜化した動物に共通して見られる特徴も現れました。
べリャーエフは、この変化はセロトニンやオキシトシンなどのホルモンの分泌量が増加したことによるものだと考えました。そして、この変化はキツネだけでなく、人間にも当てはまると考えました。
このことから分かること、自己家畜化説
原人と人間を比較してみると、オオカミが家畜化して犬になったときのような変化が現れていることがわかります。具体的には、頭が丸く小さくなることや、大人になっても見た目が子供っぽいことなどです。
つまり、人間は自分自身で友好的な人を選んで子孫を残してきたのだと考えられます。つまり、人間は自分で自分を家畜化した、自己家畜化したと言うことができます。
感想
ダーウィンは、利他的な行動が集団や互いの役に立つ場合は、その性質が残ることを見抜いていたようです。そして、人間はどうやらそういう生き物らしい。
自分を観察していて、自分勝手でも最低限の道徳は持っているのが不思議なったので、その理由を垣間見ることができて面白かったです。良い人になるために必要なことは、自分を変化させることではなく、自身の内側にある良いものを引き出すことなのかもしれません。
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