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NovelJam参加してきた記の5

喫煙所から7階の会場に戻る。人が増えている。20代から60代まで、白髪(ぼくだ)からモヒカンまで、いろんな人がいる。星雲賞受賞作家さん、漫画家さん、漫画原作者さん、脚本家さんとかお顔を拝見したことのある方の姿も見える。どうやらマジらしい。2日間で小説を書き上げる小説ハッカソンというのは文字通りの意味で、プロアマ区別しないというのも本当に本当で、それをこれからやるのだという。そりゃたしかにそう聞いたけど、ここまで本当に文字通りマジだとは思わなかったよ。「表向きはああいったけどよお、ほら実際はっさあ」「わかるぞわかる。あれだ。オルタナファクトだよな」とかチューハイ片手に頷く準備してたのに。でも、そうではないという。

「本当」という巨大な文字に陵辱されたような気分で2杯めのコーヒーを注いで、その場で飲む。忙しそうに指示してまわる鷹野さんに「マジすか?」という視線を送ったら「マジすよ」という目で、ニッコリ笑顔を返された。ちくしょう。何がちくしょうなのかわからないけど、ちくしょう。負けない。何に勝つのかわからないけど負けるわけにはいかん。

Eチームのテーブルに向かう。作家さんが到着していた。ライトノベル作家の坂東太郎さんだ。小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿した、人生初の創作小説『10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた』が連載開始すぐに大人気となり、オーバーラップ文庫からデビュー。その後も極小空間と異空間を軽快に行き来する『10年ニートシリーズ』を書き続けている、新進気鋭バリバリの作家さんである。年齢も風体もわからなかったので少々緊張したけれども、物腰の柔らかい方ですぐ会話が弾んだ。デビュー作は「自宅ごと」がポイントとのことで、異世界なのにインフラがつかえる。パソコンもどういうわけかサクサクつかえちゃうのがミソになっている。「そうそう!そうですよね!」となった。さらにデビューまでの経緯を聞く。1年3ヶ月毎日欠かさず連載投稿を続けたという執筆速度と安定感に驚嘆し、「それなら3000字以上(NovelJamの規定)も楽勝ですね」と安心感を抱く。

「コーヒーいりますかあ?」信頼感抜群の作家さんに対し、少しは貢献しようと立ち上がる。「ありがとうございます。自分でいきますよ」「じゃあお菓子をもらってきましょう」よくわからないスイッチが入ったようになり、紙皿にチョコやハッピーターンを盛ってみる。そういえば鷹野さんにいわれた「Mさんからのお話」というのはどうなったのだろう。もう1人の作家さんが呼ばれているのだろうか、それともスタッフの誰かが急遽参戦するのだろうか。早めに知りたいなと思っていたら、10時になり、NovelJamが始まった。

NovelJam(公式サイト) http://noveljam.strikingly.com/

(つづく カバーイラストふじさいっさ)

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