串の構成。
「こういう組み合わせはどうやって思いついんたんですか?」とよく訊ねられます。
「アイデアが降ってくるんですか?」とも。
そんなこと、なかなか無いです笑
僕は飲食経験ゼロで、野菜の皮剥きすら出来なかった人間です。
そんな人間がやれる事は、とりあえず色々作る事。
あと、実現するために「やらなければいけない事」と「諦める事」と「成長曲線の描き方」を明確にしていく事でした。
具体的には、自分が作りたいものと、出来ることの接点を見定めること。この先10年修行しないと会得出来ないような事には手を出さないこと。店を始めるまでにどれだけの積み上げが必要であるか考えること。などです。
要するに、現時点の自分の能力を受け止めるということです。
変に背伸びせず、それでいて向上心を持つこと。自分を過小評価せず、それでいて諦める所はキッパリと諦めること。
そうする事によって本当に必要なことが明確になっていきました。
幸いな事に、僕は「残りもの」で何かを作るのが得意でした。冷蔵庫の中にある物だけで料理をするのが好きでした。
そんな物でこんな物が出来るの?とびっくりさせるのが楽しかった。(逆に、色々揃えられたり、自分で選ぶのは苦手でした。それは生い立ちに関係しますので、いずれまた。)
身近にある食材だけれど、身近にない形にすることなら自分にもできるかも。
そう思いました。
店を始めたい!と思ってからの数年は、イメージを膨らませながら沢山の本を読み、悩み、色々と試しました。
何度も友人を招き、実践形式で経験を積み重ねていきました。
その間に、自分の長所は磨かれていったのかもしれません。
そして現在、串の組み合わせを考えるという事は、息をするかの如く自然なことになりました。
TE kara TEの串の構成はある意味でシンプル。
自分が美味しいと思えるかどうか。
自分が面白いと思えるかどうか。
大きくはこの2つ。
変化球を狙うのではなくて、ひとつの料理をひとつの串に落とし込む。
そこに自分なりのアイデアという枝葉をつけていく感じです。
その日の雰囲気で組み合わせも変えますし、思い付きで試作、試食もなしでお出しする時もあります。
ただし、そこは人と人との関係性や空気感がとっても大切。
ただただ同じ事をすればいいというものでは無いと思っています。
そして、その「差」はお得意様とか初めての方とかで変わるわけではありません。
「一期一会」的な感じですかね。
だからこそ新鮮に料理を作ることができるのかもしれません。
料理に関わらず、「よくそんな発想、思いつくなぁ。生まれながら才能があったんだろうなぁ」という意見を聞きますが、多分そうではない。
これまで血の滲むような努力を積み重ねてきたからこそ、ビックリするくらい自然な形でそのような能力を発揮できているのだと思います。
サッカーが上手な人ほど、簡単にプレーしているように見える、という感じ。
僕の世代だと、中田英寿や小野伸二などです。
まだまだではありますが、息をするかの如く色々と出来ることが増えていけば、さらに楽しくなるんでしょうね。
少しズレましたが、「どうやって作ってるの?」と思われた方は作り方をお伝えしますのでどうぞご遠慮なくー!!
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