「完全予約制」のいいところ。
「完全予約制」のメリットはいくつかあって、まずは「ロスが少ない」。
事前に人数がわかっているので、無駄な食材を用意しなくていいんです。そして、TE kara TEはコースのみ(燻製のアラカルトなどはあります)なので、より限定的に料理を作る事ができます。
そして、「食材のロス」だけではなく、「時間のロス」も減らせます。
仕込みなどに要する時間がおおよそ目安がつくので、それに合わせて動く事ができます。
そして1番大きなメリット。
これは実際に始めてからはっきりとわかった事ですが、「その人の顔を想像して料理を作る事ができる」ということです。
どんな事にでも共通することだと思うのですが、「誰か」という対象がはっきりしていればしているほど、やるべき事や伝えるべき事は明確になっていきます。
「恋人のために」
「家族のために」
「自分のために」
「動物のために」
「世界平和のために」
それぞれの立場で「○○のために」という言葉は変わりますが、その「誰か」の顔が思い浮かんでいるかそうでないかでエネルギーの掛け方も自然と変わります。
完全予約制という形を例に上げると、以前に来てくれている方であれば、その方の顔を思い浮かべながら料理ができます。
初めての方であれば、「どんな方だろう?」と想像を巡らせながら料理ができます。
どちらにしても、「誰か」を想像しながら料理ができる。
これは、「作り手」と言われる立場の人間にとってはとてもありがたい環境だと思うんです。
ごく自然に、「その人のためにベストを尽くす事ができるから」です。
「予約する」という事は、フラッと店に行くよりもエネルギーを割く行為です。
ひとつ「手間」が増えるからです。
そして、一番の目的は「空腹を満たす」事ではなく、「その店に食事をしに行く」という事です。
店側に対する期待値も上がります。
前評判が高ければ高い程。
それは作り手にとってハードルが上がっているという事になります。
ですが、どのような形であれ、自分の作る料理を食べる為にわざわざ足を運んでくれているんです。
こんなに有難いことはないですよね。
料理を作りたい!という人と、料理を食べたい!という人が出会う。
まさに真剣勝負なんです。
考え方は色々なのですが、僕にとってはこの形がたまらなく好きです。
無意識のうちに、そしてごく自然に、自分のベストパフォーマンスを披露できるからです。
そして、そのベストパフォーマンスを続ける事によって、日々成長を感じる事ができるからです。
その循環によってさらに楽しく料理ができます。
その姿は少なからず料理にも反映されると思うんです。
そして、食べる人も楽しくなれる。
その姿を見て、またこちらも楽しくなれる。
そんな「幸せしかない循環」を作る事ができる。
それが、僕が現時点で考える「完全予約制のいいところ」です。
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