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【大慈悲】変な人に話しかけられたり、乞われたり、誘惑されたりするのはなぜなのか、という話(前篇)

 今朝、さっき、ビニコン(コンビニ)の喫煙所で、きつえんを為していると、年のころは私よりも若い、日焼けした眼鏡の男に「失礼します。タバコを一本くださいませんか」と言われた。上げた。

 とくに礼もいわない。変な人だからしょうがない。

 私は昔から、変な人が向こうからコンタクトをとってくることがよくあるタイプのニンゲン。何故なのかはよくわからないが、おそらく、慈悲のこころをもっているからだと思う。なぜ慈悲のこころをもっているかというと、それは知らない。生まれつき。

 私は鳥堀町出身だが、鳥堀には半浮浪者みたいな爺さんがいる。今もいると思う。というか昔は、首里には浮浪者がたくさんいた。薄汚れた着物をきながして、棒を帯にさしている爺さんもいた。「さむらい」と私たち家族はよんでいた。ぼろぼろの軍服を着た、片足の無い爺さんもいた。この人は療養院に住んでいた、と思う。夕暮れどき「敬礼ッ!」といって、皇居の方向に敬礼していた。

 鳥堀の半浮浪者(現在)の話だが、この人はシケモク拾いが生業のようである。生業というか仕事ではないのだろうが、シケモクを拾って、それを吸う。これがこの人のこの世での役目である。ピカピカの靴を履いていたり、服もそんなにきたなくもないので、たぶん住む家はあるのだと思う。

 私は最近できた、首里高グラウンド前のファミリーマートの喫煙所でタバコを吸っていたとき、この半浮浪者がいたので、ほとんど新品の、煙草ひと箱を上げたことがある。

「ありがとうねー」と言われた。

 私は金持ちではないが、貧乏でもないので、分け与えることに関してはあまり躊躇いがない。

 福祉センターの喫煙所では、変なおじさんに、「兄さん、足ながいねー」と言われたことがある。私は「わたしはタッパがあるのでそうよく言われることがあるが、実は胴の方がながいのです」とくわしく説明した。

 同じく福祉センターの喫煙所で、目つきがあきらかにおかしな、茶髪のおばさんに「三百円ちょうだい」と言われたこともある。「何につかうんだ?」ときくと、何もいわない。「三百円」とだけ言う。この時私は断った。今でも後悔している。あるいは「千円」なら上げたかもしれない。よくわからないが。

 話しかけられたり、物を乞われたりするが、誘惑されることもよくある。変な人に。

本稿つづく

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