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オースト(ラ)リアのコアラから電話がかかってきた、ついさっき

テレレンレンレン、テッテッテテ、テレレンレンレン

「あ、はい。もしもし」

「あ、もしもし。もう、ひもじいです」

「え。あ、もしもし」

「あ、はい」

「どなたです?」

「コアラです。オーストラリアの。山火事よ。もうたいへん」

「はあ」

「ユーカリ全燃え。やばすぎ」

「あー、はいはい。ラジオで聞きました。いつのラジオなのか、再放送かもしれないけど」

「そうなんですわ。Road to NoWhere.」

「え?」

「旅、出ます。だって、食べるものないもん」

「ああ、はい。なにかわたしにできることあります?」

「あるかよ。あなたユーカリの葉たべたことある?」

「えーっと、実はあります。ドライ・マティーニで」

「それオリーブですよ」

「ああ、そうか」

「いっしょにしないで」

「ごめんなさい。あのう、コアラさんて、オーストラリアのひとなんですか?」

「どういう意味?」

「いや、あの。沖縄こどもの国にもいらっしゃるので」

「なんてなまえのやつ?」

「いや、知らないですけど」

「ふーん。まあいいや。もういそがしいから切るよ」

「あ、はい。すいませんでした」

「うん」

 ガチャ。通話時間2分18秒。

 なんでコアラが、見も知らぬコアラがわたしに電話をかけてきたのだろうと思う。不思議。

 話したかったんだろう、だれかに。ランダムに。

 そのきもちはよく分かる。


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