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【今だけ“無料”講座】5・3・1・1の法則ーヒューマン・セラピストから自分が気に食わない人たちへ(前)

 すくなく見積もっても二億円ぐらいの価値のあるお話をします。今だけ特別に200万でいいです。カナダ・ドルで。

 いや。まあ、いいでしょう。出血。未来のためなら、血も流しましょう。ほんとに今だけ、無料でいいです。ただしほんとうに今だけですよ。すぐに有料にします。

 はい。

 ていうか有料って何? 無料つうのもよくわからん。

 料って、なに?

 まあいいでしょう。

 むかし、山から下りて、舗装道路を歩いていたんですよ。川沿いの。なんかバス停もないし。下山したところはいちおう集落なんですが、集落というか、落というかんじ。ぜんぜん人がいないんです。しかしまあ林道はありました。

 林道をあるくと、舗装道路に出ました。舗装道路の端的な。

 人家っぽいのもありましたね。あ、そのまえに神社がありました。林の奥に。その神社はいちおうきれいにされていて、あたりの人たちの信仰をあつめてるんだなー、と思いました。

 で、その舗装道路なんですけど、ガタガタ。じゃりじゃり。

 あの、なんていうんでしたっけ。ぐるぐるのやつ。

 タイヤか。横浜ゴム的な。

 時速40キロ以上で走ったらそのぐるぐるの、タイヤも滑るだろうなという、そんな道でした。舗装はされてましたよ。はい。でもがたがたでじゃりじゃりなんです。

 そういう道を歩いていました。何人かで。だれと歩いていたのかはほぼ覚えていません。もしかするとひとりだったのかもしれない。

 兎に角歩いていると、だんだん、道の舗装もいい感じになってきました。文明、近し。みたいな。すべての道はローマに通ずる。

 はいはい。はい。

 通ずるのはいいけど、じゃあその道はどこに端を発しているのか。ローマ人は知っていたのでしょうかね。知らないだろうね。お釈迦さまなら知っているのか。

 ま、そんなことを思いながら、歩いていたわけです。

 で、舗装がいい感じなると、人家もふえる。ある程度ね。めっちゃ田舎というか。こんな谷みたいなとこによく住むねというような、そんな土地ですよ。

 川。両側は林。山と山。鬼も棲まないような場所です。日当たりもわるいしさ。

 んで、歩いていると。ちょっと平地があったんですよ。なんか。

 平地で、ただの土地です。建屋とかそういうのがあるわけじゃない。その平地の周りを、ロープで囲っていたんですよ。黄色と黒の、なんかホームセンターで売っているようなロープで。

 木というか、棒がある程度の間隔で土地に突き刺してあって、その棒と棒を渡すようにして黄色と黒のロープが張ってある。看板がある。

「私有地につき立ち入り禁止」

 と。へったくそな文字で書いてあったんです。

 正直、滅茶苦茶おもしろかったです。おもろまち。歩きながら、ゲラゲラ笑いました。わらってわらって。

 あるくと道を。ひらけてガチの平地になりました。明るい。人家があちこちにある。集落です。里山もある。店もある。大都会。

 店の前にバス停がありました。なのでそこで荷物をおろして、店に入りました。

 牛乳とデニッシュパンを買いました。

「あとすこししたらバスくるよ」というような意味の日本語を、その土地の訛りで店のおばあさんが教えてくれました。

「そうですか。いいお天気ですね」

「ほんとにや。○○やまに登ってきなさったんですかね」

「はい」

「富士山見えましたか」

「はい。見えました。すごかったです」

「ええですね。はい、お釣り」

「どうも」

 バス停でデニッシュパンを噛んで牛乳をのみました。「私有地につき立ち入り禁止」。思い出してまたゲラゲラ笑いました。あー、おもしろ。

 バスが(来)ました。

 5・3・1・1の法則についてぜんぜん話ができませんでした。全然関係のない話。

 すみません。次につづきます。

つづく

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