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【特別企画 夏の怪談】名護のアクセルとブレーキ①

 つぎはおれが、とNKが話しはじめた。

 NKは身長が高く、ニキビ面である。そういえばMBもニキビ面である。NKは、ある日諸葛孔明が考案したとされる何とかいう占いで自分の命日を占った。すると十九歳で自殺する、と出た。果たしてNKは自殺しなかった。何年か前に、友人(オナブ…同じ部活動だった人)の母の葬式で会った。太っていたが、まだ生きていた。45歳ぐらいの頃だった思う。あれから、死んだとは聞かないので、今も生きていると思う。孔明がまちがっていたのか、NKのやり方がまずかったのか、不明である。

 NKもまた幽体が見えるといっていた。しかしその形は、ふわふわとしたいわゆる人魂のような、光の球体であるらしい。光の球体というのは、月とか外灯とかヘッドライトとかその反射とか、ふつうは見えるものである。夜になると。

 ある夜、自宅の洗面台で歯を磨いて、NKは何気なく手を合わせた。するとバチバチと音がして、洗面台の蛍光灯がこわれたという。「手を合わせるというのは、ものすごいエネルギーをうむのだ」とNKは言っていた。手を合わせたことによるエネルギーなのか、偶然蛍光灯の寿命が切れたのか、不明である。

「大学生が四人、車にのってドライヴをしていた」

 とNKは語り始めた。体験談というわけではなく、聞いた話らしい。

本稿つづく

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