ニラ玉サッカーボールチャーハン

皆様いかがお過ごしでしょうか。

おもむろに取り出したまな板を握るのは私の左手

空いた右手で掴んでいるのは

新鮮さを失ったニラ一束と

冷蔵庫に入らないという安易な理由で

真っ二つにへし折られた長ネギの青い方。

厳選したにんにく一粒をまな板のすみにスタンバイさせ

まずは野菜を切っていくことにする。

ニラ一束をリップクリーム幅に切っていく。

定規などの長さを図れるものを持っている方は、

図りながら切るととても時間がかかるのでやめておいた方がいいだろう。

続いて長ネギをタン塩一枚ほどの厚さに切っていく。

人間の勝手な理由で半分に切られた体を

さらに切り刻まれたネギを救うのは

せめて美味しく食べてあげることではないだろうか。

最後ににんにくについた薄皮を剥いて小粒納豆ほどの大きさに切っていく。

臭い臭いと言いながら絶対にすぐ食べたくなってしまうこの味

なにか危ない成分でも入っているのだろう。

材料が切れたら

いつ生まれたか分からない鶏の卵を二つほど計量カップに割り入れ

親から取れたダシを粉末状にしたものを加えあとかたもなく混ぜ合わせていく。

親子の再開とはどんな形であれ美しいものである。

コンロに火をつけ熱したフライパンに

入れ過ぎたか入れ過ぎてないかわからないくらいの量のごま油を入れ、

そこに先ほど切った小粒納豆にんにくを加える。

にんにくの臭さに耐えきれなくなったら、

リップクリームニラとタン塩長ネギも入れ一緒に炒めていく

ここから白と緑しかない世界に彩りを加えていく。

全員が脂汗をかきテカりだしたら

フライパンの半分に具材を寄せ

空いたスペースに感動の再開溶き卵を流し込んでいく。

ある程度火が通ったら

誰が見ても炊きたてじゃない白米を入れ

木ベラで切りながら混ぜ合わせていく。

全員の自己紹介が終わったらここから味付けに入る。

まずは塩、こしょうと謎の調味料が入った粉を

お母さんに怒られるくらいの量入れたら

さらに謎の深い白い粉を鼻から吸っても痛くないくらい入れ

最後にごま油をもう一回し加えたら

ほとんど完成に近づいたといっていいだろう。

その後マヨネーズを8回し

更にスペースを空けたところに

醤油をたらし焦げた匂いがしてきたら

ご飯に染み込ませ満足するまでかき混ぜたら

お皿に盛り付けていく。

熱々のフライパンからの拷問に耐えたチャーハンたちが、

浅めのお皿に流し込まれていく。

安堵の湯気がお米一粒一粒から立ち上がっている。

そんなチャーハンたちに愛おしさを覚えた私は

さらにキレイに仕立て最高の状態で頂くのが礼儀だと思い

そのまま木ベラで丸く成形していくことにした。

色合いに不満があったので

最後に焼き海苔を切手ほどの大きさにちぎり

上から振りかけた。

するとどうだろう

サッカーボールに見えてきてしまった挙げ句

食べたらニラと海苔が歯に挟まって

少し不愉快な思いをさせられた。

味はとても美味しかったので良しとする。

それではまた。

https://youtu.be/UlKr8Ukzzrs