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【読書記録】「日本語の作文技術」本多勝一

最近友人に勧められてどハマりした「ゆる言語学ラジオ」で取り上げられていたので読んでみた。

動画内では「編集者向け」と紹介されていたが、文章を書く全日本人が読むべき本だろう。文節の係受けや句読点の打ち方、助詞や段落まで、文章を書く人間が空気のように慣れ親しみすぎて全く気を配らない事柄に光を当てていく。

文章の書き方にまつわる個人的にインパクトを受けた原則を自戒の意味も込めて以下にまとめる。

修飾の順序

1. 節を先に、句を後に。
2. 長い修飾語ほど先に、短いほど後に。
3. 大状況・重要内容ほど先に。
4. 親和度の強弱による配置転換

読点の打ち方

1. 長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界に読点を打つ。
2. 原則的語順が逆順の場合に読点を打つ。

3. 思想の最小単位を示す。

学校でも作文の時間には読書「感想文」を書かせられるなどして特段相手に物事を伝える論理的な文章を鍛えられていないがために、そもそも論理的な日本語が書けない日本人が多い点を喝破している。

「日本語の義務教育での国語教育・作文教育は、『日本語そのもの』ではなくて『日本語について』の周辺を洗っているだけではなかろうか。助詞の正確な用法は小学校高学年くらいからでも訓練すべきだと思う。中学の文法教育にしても、まだ確定したわけでもない文法を暗記させるより、助詞を正確に使って作文することを訓練する方が本当の生きた国語教育になるだろう。

またシンタックスが異なる西欧文法に一途な借用概念で明治以来文法を記述たことと合間って「日本語は非論理的」などと言われる始末である。日本語が非論理的なのではなく、使う人間が非論理的なのにだ。この憂慮は木下是雄「理科系の作文技術」でも取り上げられていた。大学の英語ライティングでやらされる例のクソつまらないパラグラフ設定を学校でも取り入れろと無批判に言うわけでは決してないが、義務教育のどこかしらのタイミングで「文章の書き方」について教えてくれれば、研究レポートを朱筆まみれで返却されるような恥ずかしい思いはしなくて済むと思うのだが。

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