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【読書記録】「山の人生」柳田國男

現代では全く聞かない話だが、かつては(少なくとも柳田國男の時代では)日本には山に棲む人間がいた。その風貌厳しく、生活は狩猟採集を主とし、事例によっては裸同然である。むやみやたらと「非文明的」の語を使うべきではないだろうが、文明開化をとうに遂げた明治・大正の人間から見ればあまりに野蛮に映ったに違いない。

しかし、かくなる山の住民の存在は、日本の民俗に多大なる影響を残している。神隠し、天狗、狐や狸といった怪談話の類いに始まり、1歳の子供に餅を背負わせる風習に至るまで、全て山の人間にまつわる話が元となっていると考えられるのは、非常に興味深い。

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