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「忘れないで」のその先へ 最高のゲーマーメイドがこれからも輝き続けるために

 あくたんが、ホロライブを卒業します。私自身「湊あくあ」を初配信から追い続けた「あくあクルー」であり、彼女の輝きをずっと見続けてきました。ソロライブが決まったときは心の底から嬉しかったし、この6年間の想い出は枚挙にいとまがありません。そんな彼女は卒業にあたり、自身のことを「忘れないで」と言っていました。もちろん、私は一生彼女のことを覚えているでしょう。
 しかし卒業発表からしばらく経ち、彼女のことを考え続けるうえで、新たな予感が芽生えました。それは、湊あくあというアイドルは私達の胸に刻まれるだけではなく、これからも多くの人々に魅力を知ってもらうことができる存在なのでは、ということです。ただ「忘れない」だけではなく、あくたんのことを見つけ、好きになる人は、これからも増え続けるんじゃないか。そんなことを思うようになったのです。


・ホロライブプロダクション二期生 湊あくあ

  2018年5月13日、「夜空メル」の初配信から、配信者グループ「ホロライブ」の歴史は始まりました。もちろん始まりはそらちゃんですが、元々はアプリケーションとしてのホロライブを紹介していたということもあり、youtubeでの配信者グループの始まりとしてはこれが最初となるでしょう。あくたんは二期生ですが初配信はそれから3ヶ月もたたない8月8日であり、今のホロライブからみればほとんど同期といっても良いほどデビュー期間が短かったのが、一期生と二期生、そしてゲーマーズです。バーチャルYouTuberというものがどういった存在なのかもまったく定義されていない中、彼女たちは何者かになろうと、様々な道を模索していきました。
 あくたんはその中でも、特に「面白い配信」「見てて笑顔になれる配信」を目指していたように感じます。公式によって立てられたマインクラフトサーバーには毎日のようにログインし、ホロライブレジスタンスとして活躍?してきました。かの有名なそらちゃんの「じゃあ敵だね!」もこの頃生まれた名言です。

 3Dの身体になってから、彼女はまた別の面を魅せてくれるようになりました。普段は小動物のようにかわいらしく動き回るあくたんですが、ライブのステージでは違います。その非常に綺麗な歌声にのせて、アイドルとしてのパフォーマンス全力で発揮してくれます。オリジナルソングにも非常に力を入れており、じん、HoneyWorks、40mP、DECO*27(敬称略)などなど、そうそうたるメンバーが楽曲を提供してくれました。そういった多数の歌を掲げてのソロライブも大成功しており、Hololive IDOL PROJECTが生まれたのも、彼女のそういった努力があったからなのでしょう。

・ホロライブでの物語、語り注がれてきた「あてぃしガニ」

 最近少し驚いたのが、「あてぃしガニは元々あくたんの中に入ったシオンちゃんがふざけてやったもの」という事を知らないホロリスが結構いたということです。

 あくシオ初の3Dライブでは、途中あくたんとシオンちゃんの魂が入れ替わり、互いの身体を動かすというシーンがありました。そんな中でいたずらっ子なシオンちゃんは、あくたんの身体でふざけたポーズをとったのです。あくたんは慌てて止めようとしてましたが、だからこそ二人の仲の良さがわかる最高のライブでした。
 このようなエピソードは、いわゆる切り抜き動画を追っているとその多くに触れることができますが、やはり人の時間は有限である以上、そのすべてを知ることはできません。追い始めたのが最近であればあるほど、過去のエピソードを知ることは難しくなります。ホロライブの配信は毎日何十枠も行われており、そういった配信の一つひとつに物語があります。
 もちろんホロライブプロダクション全体でそういったすべてを把握することは不可能ですが、「推し」は違います。すべての配信をリアルタイムで視聴することはできなくとも、雑談であったり、ポストであったり、推しが同じリスナー仲間との話であったりと、大好きな「推し」のエピソードはその多くに触れることができます。そういった知識や思い出は語り継がれ、また次の配信で触れられたり、公式でのネタになったりもします。
 推しを語ることに、対価は必要ありません。ただ彼女がどれほど魅力的な存在であるか、それを知ってもらいたいからこそ、多くを語ります。ここが面白かった!ということを伝えたいがために切り抜き動画を作り、魅力を伝えたいからこそ、イラストレーターは素晴らしいファンアートを描きます。方法の違いこそあれ、推しを知ってもらいたい気持ちは変わらず、そういった活動により私たちはまた新たな彼女のエピソードを知ることになるのです。

・伝説の卒業生、桐生ココと「ARK」

 ホロライブプロダクションにおいても伝説の卒業生といえば、桐生ココをはずすことはできないでしょう。2021年07月01日に卒業した彼女ですが、その与えた影響は今もホロライブに残り続けています。彼女がホロメンたちに勧めたゲームこそが「ARK」であり、つい最近にもぺこーらが主宰するARKイベントが行われました。アキロゼが頼れる「ムキロゼ」になるのも、あくたんが全力で恐竜をテイムするのも、桐生ココ会長自身が運営していたホロライブサーバーから始まったのです。

 現在放送中のアニメ「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」にもその影響は見て取れます。この作品は架空のVTuberグループを題材にしたものですが、その中では実際にあったVTuberのエピソードが多くパロディネタとして扱われています。そんなネタの中に「ライブオンニュース」というのがあり、これはおそらく「あさココLIVE」のパロディだと思われます。グループ内の他のメンバーの配信エピソードを面白おかしくニュース形式で紹介するという内容であり、現在でも朝ミオなどにその意志は受け継がれています。会長は他のVTuberがやってこなかった様々なことにチャレンジしており、彼女が切り開いてきた道があるからこそ、今のホロライブプロダクションがあるのです。
 会長は卒業生であり、その動画やライブ配信の多くを今でも観ることができます。ホロライブARKの始まりがどういったものだったのか、あさココLIVEではどんなエピソードが紹介されていたのかも、会長のチャンネルを見返せば実際の内容を知ることができます。彼女が選んだ「卒業」という道は、確かに寂しいものではありますが、彼女がやってきたこと、積み重ねてきたことは決して消えることなく、今のホロライブを、VTuberを支えるものとなっています。


・ただ「忘れない」ではなく、これからも彼女は輝き続ける

 あくたんももちろん、この6年間の中で数々の偉業を成し遂げてきました。まだVTuberすらほとんどの人が知らない頃、記念館三笠と、そして横須賀の街とコラボし、街中にあくたんの旗が飾られました。おそらくはあくたんのことを知らないであろう小さな女の子が「かわいい!」とあくたんのパネルに駆け寄り、お母さんに写真を撮ってもらっていた姿を覚えています。
 もちろんあくたんを語るにあたって、ゲーマーエピソードは欠かせません。ソロマスはもちろんのこと、すいちゃんやトワ様と組んだ「Startend」の輝きは多くの人の心に刻まれました。今までフロムゲーにあまり触れてこなかった私も、あくたんのプレイするSEKIROに魅かれ、トロコンするまでにやり込むようになりました。あくたんのゲームプレイとは、ただ楽しめるだけではなく、観る人の心にそういった熱いものを感じさせてくれるものなのです。
 
 ホロライブの輪は広がり続けており、今も多くの人々が魅了されています。「Startendからファンになりました!」という人や、「切り抜きを見て知りました!」という人、また中高生や小さな女の子まで、世代を問わずリスナーになっています。ですが、ホロライブの歴史は7年近くにもわたり、中々過去のエピソードまで把握できるものではありません。「ときのそらは地上波連続ドラマ主演女優である」であったり、「星街すいせいは世界一位のプレイヤーにも認められたテトリス実力者である」であったり「湊あくあはソードアート・オンラインの大ファンであり、原作者にも認知されゲームに湊あくあ本人が実装された」という事実も、根強いファンでなければ知る機会はありません。ですが、今、湊あくあの輝く姿を見ている我々は、これを伝え続けていくことができるのです。
 星街すいせい、すいちゃんは音楽のステージで最高に輝いていますが、最近では中々FPS等、ゲームのステージで活躍する姿を魅せることはできません。しかしアーカイブであれば、湊あくあと共に活躍する姿をみて、新しい星詠みにもすいちゃんのゲームスキルをみてもらうことができます。
 宝鐘マリン、船長は多彩な方面で才能を発揮していますが、自分に自信がないところがあります。しかしアーカイブであれば、湊あくあのお母さんとしてふるまい、イラストを描いてあげたりと娘を慈しむように可愛がる姿を新しい一味にもみてもらうことができます。
 新しく紫咲シオンちゃんを知ったリスナーに過去のおすすめ配信を聞かれたら、あくシオを勧めない手はないでしょう。互いにキャッキャとはしゃぎながら、心の底から楽しそうに笑う二人の姿は、新たな塩っ子にも響くことになるでしょう。

 私たちはもちろん湊あくあのことを「忘れない」ですが、それは私たちの心の中でのことです。深く刻まれた想い出はもちろん一生の宝物ですが、ホロライブは広がり続け、今も多くのファンが生まれています。であれば、私たちのこの想い出は、ただ抱えていくものではなく、多くの人々に伝えていくことの出来るものなのではないでしょうか。新たな塩っ子にも、星詠みにも、一味にも、野うさぎにも、あくたんとのエピソードを伝えることで、それぞれの推しの「新たな一面」を知ることができます。私たちにとっては過去の想い出ですが、新たなファンにとってそれは「新しい出来事」なのです。過去はただ過ぎ去ってしまったものではなく、それが残ることで、いつまでも伝え続けていくことができるものなのでしょう。

 最後に、私の大好きなゲームを彼女がプレイしてくれた時の配信を貼ります。実は初回プレイのアーカイブは残っておらず、これは2回目なのですが、あくたんは最後まで最高に楽しんでプレイしていました。

 今まで貼ってきた動画のリンクも、ともすれば消えてしまう可能性もありました。しかしこうして再生できるというその事実こそ、彼女の選択を表しています。湊あくあの軌跡は消えず、これからもずっとホロライブとリスナーの間で語られ、広がり続けていくでしょう。

あくたんへ
本当に、本当にありがとうございました。

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