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まだ死ぬ時じゃない

「これくらいならまだ乗れるよ」

妻と子どもに
「あとでね」って会話。

「あとでね」
今しみじみ喜びを噛み締めています。

生と死の狭間を
体験した者にしか
見れない世界。

僕は台風近づく
四国の高知県で
「波がいいから」
という理由だけで
サーフィンに行こうと
決めました。

ビーチでは怒った波が
ビーチを侵食する勢いで
打ち寄せています。

波は
神の怒りに触れたかの
ようなパワーを
発してます。


つねにゴォーーーーと
音がしています。


いくつかの波をやり過ごして
パドルをなんとか始めます。


沖へ出ることが辛いスポーツ、
サーフィン。

こちらの思惑とは裏腹に
進まない、海面はボコボコ、
次から次へと来る
巨大なセットの波。

ついに波に飲まれて
しまいます。


ゴボボボボボ 

ゴボボボボボ

僕は溺れてしまいました。 

時間にして  
3分くらいなんでしょうが
永遠に感じました。


強力な洗濯機の中のようでした。
手も足も顔も出せません。
己の無力さを感じます。 

必死にもがいてもがいて
心から水面に出た思いが
「死にたくない、
まだ生きてたい」
でした。

今ここで妻と娘を残して
先に逝ってたまるか。

こんな気持ちでした。  

10分くらいかかって
ようやく岸に戻りました。

打ち上げられて
倒れてた僕。


妻が気づいて娘と一緒に介抱して
くれました。

顔面蒼白、
部屋に戻ると
熱が41度ありました。 


通りでうまくいかないはず。

波と聞いて 
テンション上がって
体調不良のこと
忘れてしました。 

波に溺れる苦しさ、熱の苦しさ

これは何かの罰なのでしょうか? 

40度超えの熱は容赦なく
体力と行動を奪っていくのです。 

立てない、動けない。

気づけば13時間、
ずっと悪夢にうなされていた。

台風の波を
ナメていたのかもしれない。

自然の前では
驕り高くいてはいけません。

猛省。

自分の体調くらい一番自分が
知っているのだから
冷静になること。


死にたくない  

まだ死にたくない

海面から顔を出すたびに
そう思っていました。

神様はその願いを叶えて
くれました。

助かったというより
生かされたという感じです。


怖かった。

止めることはないけど、
サーフィンは楽しさは
麻薬のようなものです。


一度ハマると抜けだせない。


新しい板買って 
またチャレンジしてみたいけど
体重とか考えると、
もう合う板ないのかな。

夕方は地元の子どもたちの
サーフセッション。

大分苦しそうにしてましたが
なんとか波をメイクして
ビーチに戻ってきました。 

地元の子どもたちは上手だなぁ。

なんでも身の丈に波を選ぼう。

目を閉じてみます。


いい波なのに
誰もいない海。


それは危険だから入るべき波では
ないことを意味します。


いい波だけど
沖に出れないから誰もいない。


こんな選別、
当たり前のようにできてたのに
旅に浮かれてしまったようです。


明後日には落ち着いてますように。


サーファーの事故の
ほぼ100%は過信によるものです。


もっと自然と対話が出来るように
なりたいです。


焦って入ろうとせず
ゆっくり波を見極めようと
誓いました。 


初心忘れるべからず。



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