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誰も見てないカブトムシ

小さい頃、
7.8歳くらいの時かな。

夏休みになると
24時間テレビがあって
えー夜中もテレビやってるの?✨✨

松本零士の
オリジナルアニメなんか
やっちゃって。


子どもにはパラダイス。


昼にはスイカなんかを頬張って
種をプップってやる。


またスイカ生えてくるよって。


昼間は虫を追いかけて、
高校野球でワーワー
大人が盛り上がって
なんだか楽しかった。

絶対違うけど毎日晴れてた気がする。


朝顔も向日葵も
夏を盛り上げるための
僕の部下であった。

夏は風物詩が山ほどだね。

年に数回の夏祭り(昼)は
もちろん屋台目当てだし
この世の宝箱。

そしてこんなこと自体が
珍しいんだけど
夜7.8時くらいに
近所の子と集まって
近くの林にクワガタかなにか
夏を捕まえに行く。


夜にお出かけだってさ❗️


新品のアミと虫かご持って。

当然簡単には
クワガタ様どころか何も
都内では捕まらないんだけど、
夜に出かけたってことだけで
興奮してた。

そしてお盆も過ぎてくると
お店で友達がカブトムシやら
クワガタの
幼虫を買って育てるんだよね。

そしてカブトムシ相撲とかするの。

僕は好きじゃなかった。

クワガタにカブトムシが
ハサミではさまれたら??
なんて思って。

僕はカブトムシもクワガタも
持ってなくて、
ただ遠巻きに見てた。

もう夏も終わる頃、
短くなったピンク色に
今までとは頬の撫で方も
テンションも違う風が吹く。


そんな頃の早朝、
母は家庭菜園か何かで
野菜を取るつもりだった。


きゅうりだか何か朝ごはんに
出すつもりだったのかな。


母親の叫び声で起きた。


何かの鉢植えから
カブトムシらしき幼虫を
見つけたらしい。


図鑑で見ると間違いない。


虫の王様の幼虫だ。


誰にも知らせずに
腐葉土をかけて育てた。


しばらくすると
立派に育ち、
エラソーに光り輝くカブトムシ
になった。


友達には知らせずに
カブトムシ相撲はやらせなかった。


咬まれたらどうしようって。


しばらく眺めて
木登りさせたり
絵に描いた後、
近くのすごく大きな神社に
逃がしに行った。

どうよ?デカイ木だろう?


木に放つとずっとジッとしてた。


いいんだ、別に。


デカイ世界に慣れてきた頃には
その神社の王様になってて
欲しいなぁと思った。


虫はそんなに好きじゃないけど
虫の目は好きだ。


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